第98回アカデミー賞授賞式が3月16日(日本時間)、アメリカ・ロサンゼルスのドルビー・シアターで開催され、『ワン・バトル・アフター・アナザー』が作品賞を受賞。最多6部門を受賞し、今年の映画賞レースで有終の美を飾った。

今年の授賞式は、『ワン・バトル・アフター・アナザー』とアカデミー賞史上最多となる計16部門でのノミネートを果たした『罪人たち』が文字通りのデッドヒートを繰り広げ、各賞が発表されるたびに、会場は大きな歓声に包まれていた。

『ワン・バトル・アフター・アナザー』は作品賞、監督賞、編集賞、脚色賞、助演男優賞(ショーン・ペン)、キャスティング賞を受賞。そして、『罪人たち』は主演男優賞(マイケル・B・ジョーダン)、オリジナル脚本賞、撮影賞、作曲賞の4部門に輝いており、この2作品が、いかに2025年のハリウッドで重要な位置を占めていたかがわかる結果となった。
『ワン・バトル・アフター・アナザー』『罪人たち』に加えて、エイミー・マディガンが助演女優賞を受賞した『WEAPONS/ウェポンズ』は、どれもこの数ヶ月間、親会社であるワーナー・ブラザース・ディスカバリーの買収に揺れたワーナー・ブラザース作品だ。現時点で、パラマウント・スカイダンスによる買収決定が報じられており、賞レースの結果だけを切り取ると、何とも皮肉で、ほろ苦い結果といえるだろう。

そして、当初ワーナー買収に乗り出し、その後に撤退を決断したNetflixも、今年は『フランケンシュタイン』(ギレルモ・デル・トロ監督)が美術賞、メイクアップ&ヘアスタイリング賞、衣装デザイン賞の3冠。世界中で旋風を巻き起こした『KPOPガールズ!デーモン・ハンターズ』が長編アニメ賞と歌曲賞の2部門を受賞し、『あなたが帰ってこない部屋』が短編ドキュメンタリー賞を獲得するなど、映画界での存在感をさらに強める結果となっている。
授賞式では、AIやスマホ視聴、マット・デイモンによって明かされたNetflix独自の映画制作ルール(視聴者のために台詞の中でプロットを3、4回繰り返すなど)を皮肉る演出もあった。果たして、劇場公開とネット配信は手を取り合うことができるのか、それともーー。ワーナー、Netflixが席巻した第98回アカデミー賞が、映画の未来を占う分岐点になったことは間違いないだろう。
全体的な授賞式の空気を振り返ると、政権批判が色濃く賛否を呼んだグラミー賞に比べると、政治的なコメントはほぼ皆無で受賞者のスピーチも、純粋な喜びや感謝を述べるものが多かった。ドキュメンタリー賞のプレゼンターを務めたジミー・キンメルは、天敵・トランプに対する直接的な言及を控える一方、コメディアンらしい“匂わせ”で喝さいを浴びた。


もちろん、国際長編映画賞のプレゼンターを務めたハビエル・バルデムのように、戦争反対を訴える者もおり、その力強いメッセージには大きな拍手が送られていた。ロブ・ライナー監督、ダイアン・キートン、ロバート・レッドフォードらを追悼したメモリアル、『罪人たち』の歌曲パフォーマンスなど、感動的な瞬間も数多くあった。
