【『黒帯』撮影現場レポートvol.03】快晴のおかげで撮影順調!
願いが叶って快晴で迎えた取材3日目。場所は静岡の小山町。神奈川の西に住む筆者の家からは比較的近い。とはいえ極端に本数の少ないローカル線の旅。早朝から出かける。本作のような歴史モノは古い佇まいを残したロケ場所を見つけるのが大変だそうで、どうしても都心からは離れてしまう。だから都心から2時間ちょっとの小山町など「まだ序の口」だと言う。少しビビリつつも抜けるような青い空に感謝だ。いや、いい所だ。駅から車で20分ほどの小高い丘の上には緑が広がる。その中に大正末期に建てられた西洋館があって憲兵隊の分隊所に見立てている。
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今日のメインの撮影は憲兵の手先となって暴走する大観の前にそれを阻止すべく最強の敵の東郷が現れるという緊迫のシーン。東郷を演じるのはこの作品の企画者にして、自身も空手有段者の西冬彦さん。憲兵隊に空手を指導している大観と長英のところに東郷が現れる。向かい合い大観の狼藉をとがめる言葉をつぶやく東郷。突如、大観の手刀が東郷の首へと飛ぶ。間一髪でその手刀をかわす。できるなと手刀を収める大観。う〜む、達人同士の息詰まるやりとり。
監督からリハーサルの段階で何度も演技指導があってリハーサルが繰り返される。スタッフ、キャスト共に本番の体勢に入るや轟音が響きわたる。オートバイの爆音だ。「いや、富士スピードウエイが近いからレースじゃないか」と音声さんたちのやりとりがあって、しばしの中断。「レースだと周回するからまた回ってくるんだよな」と心配するが、もう一度来ることはなかった。どうやら暴走族だったようだ。はた迷惑だなあ。これ以外は晴れ渡った空のごとく極めて撮影順調。
お昼は中華丼とサラダにスープ。三々五々芝生に座ってピクニック気分。昼休みには鈴木ゆうじさんが憲兵隊員たちに空手の稽古をつけるなんてシーンも見かけられた。本当に天気が良いと現場が楽しくなる。この日は順調に撮影も終わり、まだ陽が残っているうちに解散となった。帰り支度をしているとスタッフの方が「こんなに早いのはほとんど奇跡ですよ」と笑った。次は栃木の鹿沼でのロケで、夜間シーンもたっぷりあるそうだ。寒さ対策を怠らないように、と言われた。
(text/photo:Akira Sano)
《シネマカフェ編集部》
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