役所広司&原田監督がモントリオール映画祭受賞の喜び語る 復興へ家族の絆を強調
先に開催された第35回モントリオール世界映画祭で審査員特別グランプリを受賞した『わが母の記』主演の役所広司と原田眞人監督が9月1日(木)、京都の大江能楽堂にて受賞報告会見を行った。
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役所さんをはじめ、樹木希林、宮崎あおいら実力派キャストが顔を揃えた本作。井上靖の自伝的小説「わが母の記〜花の下・月の光・雪の面〜」(講談社文芸文庫所蔵)を原作に、年老いた母親の面倒をみることになった男が、家族や周囲に支えられながら互いの想いに向き合っていくさまを描く。
現在、原田監督と役所さんは、この映画と連動したドラマを京都で撮影中。映画祭には樹木さんと原田監督の息子の遊人(ゆうじん)さんが参加しており、監督は息子さんからのメールで受賞を知ったという。「息子の遊人からメールが入りまして『審査員特別賞ゲット』と書いてあるのですが、ピンとこなかったんです。賞を獲れたとしたら主演女優賞だったんじゃないかなと。そうしたら、電話が入ったんです。樹木さんからで『喜びなさいよ! 大きい賞ですよ。(紹介されたのが)最後から2番目ですよ』と。一番気になっていたのが観客の反応だったのですが、素晴らしかったという話を聞いた時点で、涙が出てきました」と喜びを語る。
役所さんは「実は初めて僕が海外の映画祭に参加したのも『KAMIKAZE TAXI』で原田監督とだったんです(※1995年公開/フランスのバレンシエンヌ映画祭で、審査員特別賞と監督賞を受賞)。今回も一緒に映画祭に参加したかったですね。日本映画を世界中の人たちが観てくれる光景を見て、また海外映画祭に参加したいなと思った、初めての経験でした。(受賞発表後に)希林さんと電話でお話したんです。クールな方なんですけれども、このときかなりテンションが高くて、希林さんの声から現地の興奮が伝わってくるような感じがしました」とふり返った。
本作のどういった部分が評価されたのか? 役所さんは「世界中どこの国に行っても、母親に対する思いというのは、きっと同じだろうと思います。言葉は通じなくても母親を思う気持ちと、母親と心が通じ合う喜びというのは、きっと世界的に共感していただけるところだと思っていました」と推測する。
本作は東日本大震災の前日の3月10日にクランクアップを迎えた。その後、監督は編集作業に入ったが、日本を襲った未曾有の大災害はこの作品にどんな影響を与えたのか? 「撮り終えたその日(3月10日)は、気分が高揚していました。関わったスタッフ・キャストみんながハッピーな1日だったと思います。いつまでもこの時間が続けばいいな、と思っていました。きっとたくさんの人がこの日で、時間が止まってくれたらよかったのにと思っていることだろうと思います。私はクランクアップの翌日(3月11日)から都内のスタジオで編集作業に入ったのですが、そのときに地震に遭いました。それから日々TVで流されるニュースを見ながら、涙を流していました。その想いが、この映画にもこもっていると思います。この映画がどれだけ悲しみにあった人に癒しをもたらすことができるかはわかりませんが、未曽有の大災害から立ち上がる中で必要なのは、家族の絆だと思います」と想いを語る。
役所さんも「『わが母の記』は心のケアになるような映画だと思います。映画を作っている人間として、この映画を通して震災に遭われた方にも元気を届けられたら。そして、これからもそんな想いを意識して作っていきたいと思います」と胸の内を明かしてくれた。
役所さんはさらに本作が伝えるメッセージに触れ「最近、大人も楽しめる映画が少なくなっていると思います。映画はビジネスですから、たくさんの人に来てもらって、ヒットして、ビジネスとして成功しなければならないのですが、やはりインスタントものですぐおいしいものといったものではなくて、しっかり噛みしめてじんわり深いもの、50年後に観ても楽しめる映画も作り続けなくては、と思います。この映画は、監督が5年前から企画をされていて、ご自身の出身地・沼津を舞台にしているので、さらに思い入れも深いと思います。こんな作品を作っていかなくてはならないと思います」と言葉に力を込めた。
引き続き、海外の映画祭からのオファーが届いているという本作。一方で「公開時には日本の観客の声もたくさん聞きたい。観客の声こそが私にとっての本当の“賞”だと思っています」と原田監督。10年におよぶ家族の愛の物語は、人々の胸にどのように届くのか——?
『わが母の記』は2012年公開。
《シネマカフェ編集部》
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