『永遠の僕たち』ガス・ヴァン・サント監督「自分の見知ってる場所に、帰り始めてる」
「“死”は事件で、ティーンの日常というのはプラットホームなんだよ」。『永遠の僕たち』のストーリーテリングにおけるティーンと死という設定について、ガス・ヴァン・サント監督はこう語り出した。
最新ニュース
インタビュー
-
『トンイ』女優ハン・ヒョジュ、ミラノで自由を満喫!飾り気のない姿に“ほっこり”【PHOTO】
-
『永遠の僕たち』ヘンリー・ホッパー、15歳少女に対するレイプ容疑で訴えられる
-
「短くて面白い」が選ばれる新時代――新たな配信サービスの挑戦

「そもそもストーリーというものは特異な舞台設定を持っていることが多い。ティーンの日々というのはみんな経験していて、西部劇やSFアドベンチャーやギャングもののような特異な設定ではないけれど、やはり独特の力学があり、そこから物語として紡ぐことのできる、れっきとした一つのジャンルなんだ。14、15本と作品を撮る中で自分でも少しそこに立ち戻りつつあるような気がするよ。スピルバーグがファンタジーや少し誇張されたリアリティを描く作品に立ち戻るのと似ているかな。ルーカスの『スター・ウォーズ』、ジョン・フォードの西部劇と同じように、僕もまた、自分の見知ってる場所に帰り始めているんじゃないかなと思うんだよ」。
——ならば「死」については?
「それとはまた違うストーリーテリングの方法だろうな。“事件”というか…ロシア映画は主人公の死を望む傾向があるとよく聞くけど(笑)、『死』という事件があるからこそ、『生』が描けるというか。闇なくして光は描けないから、その対比ということなのかも」。
——「死」に関連しては、長崎の原爆のキノコ雲と廃墟の町のショットを入れた理由は?
「加瀬亮扮する特攻隊員のヒロシは、長崎に原爆が落とされる直前に死んでいる設定だったから、アナベルが長崎のことに触れても、そんなことがあったなんて知らない。でも結局は知ってしまって、同じ日本人を、長崎の町を悼んでいるんだと思う。この映画の重力のターニングポイントにもなっているんだよ、あそこは。ちょうどあの瞬間でトーンが変わるんだ。観客もいずれアナベルに死が訪れることを知っているが、あのショットでその事実を思い出す。だからあの瞬間から暗澹(あんたん)としてくるんだ。実際、キノコ雲の描写は脚本にはなかったんだけど、視覚的なサポートとして僕が足した映像だよ。亮はあのショットがあるのは知っていたが、ヒロシとしてはもちろん知らない」。
——ヘンリー・ホッパー扮する主人公・イーノックが葬儀所をブラついていたり、そこでアナベルと出会ったり。『ハロルドとモード 少年は虹を渡る』や『禁じられた遊び』を思い出してしまいますが。
「その要素はあると僕も思うよ。脚本を書いたジェイソンはそうした映画を観ていないと言っているけれど、僕は『永遠の僕たち』を作る前に観てるから、どこか共鳴しているところはあるかもしれないね」。
——ヘンリーは本作が映画初出演ですね。
「そうは言っても、既に映画はいくつかオーディションを受けていたみたいだよ。サンタモニカのアクターズ・スタジオで舞台経験をしているし。彼の父親のデニス・ホッパーは有名な俳優だもの、何だかんだ言ったって、演技というものは既にヘンリーの近くにあったんだよ。もっとも当初は映画よりも絵を描いていれば幸福って感じだったけどね」。
——一方、アナベル役のミア・ワシコウスカが教えてくれた「サイレント・テイク」。台詞を発することなくシーンを演じてみるというこの手法は、いつ頃から取り入れてるのでしょうか?
「やり始めたのは『MILK』からなんだ。主演のショーン・ペンにテレンス・マリック監督がやっていると聞いてね。編集時のオプションになるし、会話のリアクションにも使えるということで、後での編集の役に立つのではと思って採用したよ。僕は元々画家だから、ビジュアル的にはいろんな絵画からの影響があるのは確かだけどそれを具体的に示すのは難しい。たぶんカメラの構図に一番影響しているんじゃないかと思うけど。もちろん色彩や照明にもその影響は出ているんだろうな。自分でハッキリ指摘するのは難しいけれどね(笑)」。
© Kazuko WAKAYAMA
《text:Yuki Sato》
特集
関連記事
-
『永遠の僕たち』ヘンリー・ホッパー、15歳少女に対するレイプ容疑で訴えられる
最新ニュース -
加瀬亮、クリスマスの予定は「焼き鳥」お相手は?
最新ニュース -
加瀬亮、映画への“愛”「10年前の僕と今の僕。等身大の自分から始めるしかない」
最新ニュース -
加瀬亮、ハリウッド進出第2弾! 現場での仕事は、監督が飼う犬の散歩!?
最新ニュース -
海外で活躍してほしい俳優1位は水嶋ヒロ、2位に向井理 必須条件は語学力と長身?
最新ニュース -
【TIFFレポート】加瀬亮、デニス・ホッパーの息子と朝4時までの付き合いを明かす
最新ニュース -
加瀬亮が死を語り、若い2人を導く! 『永遠の僕たち』ポスター&予告編解禁
最新ニュース -
加瀬亮が出演するガス・ヴァン・サント作品が東京国際映画祭でお披露目!
最新ニュース -
村上春樹原作『神の子どもたちはみな踊る』予告編到着! 扉の向こうに大胆な姿で…
最新ニュース
この記事の写真
/