【対談:フレンチシネマの中の女性たち vol.3(最終回)】 フレンチシネマの女優
フランス映画を彩る女優たちは、実は国籍は様々。ドラさん、雅子さんが大好きなロミー・シュナイダーはオーストリア出身だし、ダイアン・クルーガーはドイツ、クリスティン・スコット・トーマスやシャーロット・ランプリング
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フランス映画を彩る女優たちは、実は国籍は様々。ドラさん、雅子さんが大好きなロミー・シュナイダーはオーストリア出身だし、ダイアン・クルーガーはドイツ、クリスティン・スコット・トーマスやシャーロット・ランプリングはイギリス、モニカ・ベルッチはイタリア、というようにヨーロッパ中から素敵な女優たちが集まってくる。しかも、彼女たちが演じるのは「外国人」ではない、フランスに生きる女性。そんな懐の深さもフランス映画の魅力の一つだ。
ドラ:私は『ラブ・クライム 偽りの愛に溺れて』(原題:Love Crime)のクリスティン・スコット・トーマスはいい女優だと思う。
雅子:私も好き。落ち着いた雰囲気で演技が巧いし。フランス語もすごく上手。フランス人かと思うぐらい。
ドラ:共演のリュディヴィーヌ・サニエも人気あるね。彼女は典型的ないまのフランス人の女優。普通っぽい。『晴れ、ときどきリリー』(原題:Pieds nus sur les limaces)ではダイアン・クルーガーと共演してる。
雅子:ダイアンもフランス語が上手ね。綺麗だし華がある。ハリウッドや様々な監督と仕事をする柔軟さ、武器は語学力と美貌ね。
ドラ:映画だけじゃなくてアートの世界全般に言えるけど、ピカソとか才能ある外国人の芸術家がパリに来て、自然とフランスの中で重要な存在になっていく。これが、パリのすごくいいところだと思うわ。映画の話に戻すと、先に名前を挙げた女優たちも、外国人を演じる必要がないこと。これは大事と思う。パリは外国人でも自然に受け入れる。
雅子:その人種の多様さがパリの、そしてフランス映画の魅力なんじゃないかしら。そういえば、私もパリでは嫌な思いをしたことがないかも。
雅子:ロミーのほかに、好きなフランス人の女優だと、私は『男と女』(原題:Un homme et une femme)のアヌーク・エーメも好き。あの美しさは永遠に封印したいくらい。
ドラ:いまの女優は?
雅子:うーん…(笑)。日本人にとってフランス女優というと、すぐにぱっと浮かぶのはやっぱり王道のカトリーヌ・ドヌーヴかな。あと、出演する作品を必ず観るのはシャルロット・ゲンズブール、マリオン・コティヤール、エヴァ・グリーン、メラニー・ロラン、エマニュエル・ドゥボス、イザベル・ユペールなどなど。旬のレア・セドゥ、セリーヌ・サレットも注目。好きな女優はビジュアルと、演技を見たいのとで多少違うけれど。
ドラ:もちろん、ドヌーヴは素晴らしい女優。私、何回かインタビューしたけど、考え方が面白い。
雅子:若い頃から名監督と組んで、いまでも第一線で活躍して且つ主役もできる存在は素晴らしいと思う。仕事好きですよね。見かけ以上に男っぽいのでは?
ドラ:クラシックに見えるけど、全然そういう人じゃない。すごいアバンギャルドで、ちょっとショッキングな部分もあって、そのコントラストが私、好き。
雅子:多様性があるんですね。
ドラ:あと、日本でもすごい人気があってフランス人にとっても大事な女優はソフィー・マルソー。私より少し年上だけど、80年代の『ラ・ブーム』(原題:La Boum)からずっと同じ時代を歩んでいるから。
雅子:『ラ・ブーム』、可愛かった!
ドラ:彼女はすごく自然な人だから。生き方も。
雅子:そう。フランス映画の中の女性って、ナチュラルなんです。日本はそもそも大人の女性を描いた作品があまりないような気がする。フランス人は…ソフィー・マルソーが代表的だと思うんだけど、すごく自然で女っぽい。いい意味でね。たとえば、“若さ至上主義”の日本ではどうしても若く可愛く見せたいっていう気持ちが優先されてしまう。フランス女性の場合は、シワができようが、それも素敵にしてしまうような成熟した魅力がある。
ドラ:そこはアメリカとの違いでもあるね。映画もハリウッドのように、必ずハッピーエンドじゃなく、必ず最後に考えさせる。イエス、ノーを白黒はっきりさせるだけじゃなくて、ちょっと考えましょう…と。これはすごい大事と思う。
雅子:私は、映画は一人で観に行くことが多いけれど、もし誰かと観たら、鑑賞後にいろんなことを議論し合ったりする。アメリカ映画は物語を、日本映画は風景を、フランス映画は人間をと言うけれど、確かにそうで、複雑な人間模様のことなんかをいろいろ話したくなるんですよね、フランス映画は。
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WOWOWシネマ「フランス月間!2013」
6月9日(日)~21日(金)まで
《photo:Toru Hiraiwa / text:Yuki Tominaga》
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