Netflix配信作『ビースト・オブ・ノーネーション』フクナガ監督、来日に喜び
ネット映像配信サービス「Netflix」初のオリジナル映画『ビースト・オブ・ノーネーション』が10月24日(土)、東京国際映画祭にて上映されるのに先駆け、キャリー・ジョージ・フクナガ監督と「Netflix」グレッグ・ピーターズ社長が会見に臨んだ。
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今年のヴェネツィア国際映画祭のコンペティション部門に出品された本作は西アフリカの内戦下で兵士として育てられ、過酷な運命を生きていくことになる少年の姿を描いている。10月16日より全米で劇場公開が始まると共に世界各国の「NetFlix」で会員向けに独占配信がスタートした。
ナイジェリア人作家のウゾディンマ・イワエラの小説を元にした本作だが、フクナガ監督はこの内戦下で少年が兵士にさせられるというテーマを以前から映画として描きたいと考えていたという。「大学で政治学と歴史を学び、この題材で映画を作りたいと15年ほど前から考えていました。自分でもリサーチを重ねていましたが、その中でこの原作と出会い、そこから10年を費やして映画を作り上げました」と明かす。
日本の映画ファンに対しては「なじみのないテーマかもしれませんが、深く味わっていただければと思います。見た人がいろんなことを感じ取り、考える作品になっていると思います。新聞などでこうしたニュースに触れるのとは違い、観終わってこの主人公の少年の気持ちを感じ、個人的に心に訴えかけられるような身近な存在として感じていただければ幸いです」と呼びかけた。
主人公のアグーを演じたアブラハム・アッターは演技未経験のまま本作に参加し、ヴェネチア国際映画祭でマルチェッロ・マストロヤンニ賞を受賞するなど若手俳優として称賛を集めた。彼との出会いについて監督は「ガーナで撮影すると決めた段階で、現地の子どもたちを起用できればと考えていました。キャスティング・ディレクターを送り込んだのですが、アブラハムが放課後にサッカーをしているところ、声を掛けました。彼はサッカーチームにスカウトされたと思ったようですが(笑)、利発な子で懸命に努力をしてくれました。一人の少年が変わってゆくさまを描いていますが、初めての演技とは思えないほどうまく演じてくれたと思います」と称賛を送った。
日系アメリカ人の父親を持つフクナガ監督だが、好きな日本映画について質問されると、影響を受けた存在として今村昌平の名を挙げ「特にカメラワークの技術はスコセッシがやったことを10年以上も早くからやっていた」と語る。また「是枝裕和監督の自然体でリアリティのある作品も素晴らしい」と語り、改めて自らのルーツでもある日本を訪れることの喜びを口にしていた。
「Netflix」のピーターズ社長は、全米での劇場公開と合わせて本作をネット配信することについて「できるだけ多くの人に作品を見る機会を提供したいし、劇場で見ることができない人に多くの選択肢を提示できれば」と意義を口にする。
本作は映画が製作されたのちにNetflixでの配信が決まったが「今回は、完成した映画を見て、その素晴らしさに触れて、こうして配信することが決まりましたが、今後、製作前のもっと早い段階で関わっていく可能性もあります。よりよい方法を模索し、追及していきたいと思います」と今後の展望についても語った。
『ビースト・オブ・ノーネーション』はNetflixにて配信中。
《シネマカフェ編集部》
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