イザベル・ユペール、“悪人論”から演技アプローチを語る『エル ELLE』
ハリウッドの大物女優たちが断り続けた衝撃のキャラクターを熱演し、第89回アカデミー賞主演女優賞ノミネートほか、数多くの賞に輝いたイザベル・ユペール主演
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本作は、『氷の微笑』などで知られる巨匠ポール・ヴァーホーヴェン監督が、“フランスの至宝”ユペールを主演に迎えて放つ異色のサスペンス。性的暴行を受けながら、警察には頼らず自ら犯人を追及するキャリアウーマン、ミシェルという難役をユペールは熱演。数々のドラマを生んだ本年度の賞レースで、本作はひときわ異彩を放ちながらも133ノミネート69受賞(7月18日現在)、フランス映画にしてアカデミー賞主演女優賞ノミネートも果たした。
ユペールといえば、『ピアニスト』(ミヒャエル・ハネケ監督)でカンヌ国際映画祭女優賞、『主婦マリーがしたこと』(クロード・シャブロル監督)などでヴェネチア国際映画祭女優賞、『8人の女たち』(フランソワ・オゾン監督)でベルリン国際映画賞銀熊賞(芸術貢献賞)と、世界三大映画祭の全てで賞を獲得、本作で初のオスカーノミネートも果たした世界でも指折りの演技派。
このたびの映像では、キャラクターへの理解度の高さという基本的な要素を認めつつ、一方で、役を理想化するのではなく役のリアルに迫ることを心掛けていると彼女は語る。観客の共感や心地よさを得やすくしなければならない、という風潮を暗に批判しつつ、「ただ役の真実を演じたい」とモットーを挙げた。
続けて、“悪いことをするキャラクター”を例に挙げながら自身のキャラクター論についても言及。「悪いことをする」からといって「その人が“悪”ではない」と断言する。
ミシェルは、映画の冒頭で男に襲われるが、物語を通じて犯罪被害者としてだけではないさまさまな側面を覗かせ、その複雑で独特な人物像に観客は戸惑いながらも引き込まれていく。同時に、彼女を取り巻く人々もまた、多様な表情を持っているのも本作の魅力。
ユペールの言葉は、本作を紐解く大きなヒントにもなっているようだ。
『エル ELLE』は8月25日(金)よりTOHOシネマズ シャンテほか全国にて公開。
《シネマカフェ編集部》
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