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【インタビュー】草なぎ剛、芝居の技術より大切なこと「常に自分と向き合う」

ノーガードの佇まいで、草なぎ剛はこちらの余計な緊張をスッと解いてくれる。ついに公開される主演作『台風家族』で演じている鈴木小鉄とは正反対の、明るい表情だ。

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草なぎ剛『台風家族』/photo:You Ishii
草なぎ剛『台風家族』/photo:You Ishii 全 29 枚
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雰囲気づくりの達人。その場にいる誰もが気持ちよく仕事ができるように、友達のような気さくさで接し、空気を和ませる。ノーガードの佇まいで、草なぎ剛はこちらの余計な緊張をスッと解いてくれる。ついに公開される主演作『台風家族』で演じている鈴木小鉄とは正反対の、明るい表情だ。

9月6日(金)から3週間の限定公開の実現について、「皆さんの応援の声が届いたおかげです。本当にありがたいと思っています」と言う。「新しい地図を広げて、慎吾ちゃんと吾郎さんも主演映画が今年公開されて。僕もそこに加われば、全部ラインナップが揃うという気持ちもあったので、うれしい。待ってくれている方々に早く観てもらいたいです」。

あえて役づくりをしない、その理由


『台風家族』(C)2019「台風家族」フィルムパートナーズ
草なぎさんが演じる小鉄は4きょうだいの長男。年老いた両親が銀行から2000万円を強盗、行方をくらましたまま時効を迎えたことから、子どもたちが10年ぶりに実家に集まり、形ばかりの葬儀と遺産相続の話し合いをするのだが、それぞれの思惑をぶつけ合ううちに、次々と意外な事実が浮かび上がってくる。

今回の役にどう臨んだか問うと「もうノープランですね、この場合は」と言う。

「それが面白いというか。今回はオリジナル脚本だったので、別に準備せず、自分の中に余白がある方が、監督の言っていることを受け入れられるんじゃないかと思って、本当に何も考えずにやらせてもらいました」。

丸腰で戦いに挑むようなその状況は、逆に怖くないだろうか。

「いや、怖いですよ。けど、何も準備するものがないからしょうがない(笑)。だからもう早く寝るだけ。とりあえず睡眠を取っておけばどうにかなる。睡眠が僕の一番の役づくりなんですよ」と言う。

草なぎ剛『台風家族』/photo:You Ishii
「自律神経が整ってないと活舌も悪くなるし、ちょっとしたことや音が気になったりする。だから僕はいつも10時に寝ようと思ってます。普段も。撮影が遅くなるときもあるんだけど。早く寝て、早く起きれるように。それが一番の役づくり」と言うと、わざと得意そうな表情を作ってみせて「真面目なんですよ、そういうところ。考えているわけですよ。8時とかに寝ますから、撮影に入ると」と冗談めかす。言うのは簡単だが、徹底させるのは難しい。

「そう。でも夜中までいろいろ資料とか読んで考えてると、逆に翌日、眠くなっちゃう。それよりパッと寝て、クリアの状態で起きて、現場入ってその空気吸った方がいい。自分で決めつけていくと、監督に何か言われても変えるのが難しくなる。たぶん演技って、何も考えなくてもいいんですよ。こだわりを持っていると、むしろ僕はできなくなっちゃうんです。現場に行けば監督いるし、共演者もいる。セットや小道具があって、『こういう世界観だな』と思ってやるのが好きです」。

『台風家族』(C)2019「台風家族」フィルムパートナーズ
アイデアやアドリブも「回っているときに生まれる」。そして「役者じゃないんで、もともと」と語る。

「いろんなことをやってきました。コンサートもそうだし、ステージに立つこと、歌うことも、バラエティーもそうだし。役者1本で、子役からやってきているのであれば、ちゃんと作るようなお芝居になるかもしれないけど、そういう環境で育ってきてないので。それこそ『ユーたち、やっちゃいなよ』とステージに上げられる環境で育ってきて、そっちが当たり前なんです」。

瞬間瞬間に反応、反射していくことで「予想だにしなかった自分に会えたり、本番中、相手に対してこんな感情を持っているんだという発見ある。もちろんリスクはありますよ。自分の中から出なければ、つまんないものになっちゃう。すごいリスクはあるけど、僕はその方が好きです」。
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《text:Yuki Tominaga/photo:You Ishii》

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