歳を重ねたからこそ受け入れられたもの
草なぎさんが現場で作り上げていった小鉄からは、子どもの気持ちと親の気持ち、両方が伝わってくる。親のようになりたくないと思いながらも似てしまうその有様がリアルだ。
「若いときは自分の親に似てるのがすごく嫌だった。思春期過ぎて20代、中年になる前です。体の成長もいったん終わって、二十歳から人間って老いていくと言いますよね。でも、25って気持ちはまだ若い。そのとき親に似るのが嫌だった記憶があって。家族って血が濃いから、どうしたって顔も似ていくし、同じ遺伝子だから逃れられない運命なんだけど、そこから逃げたい感覚があって。でも、だんだん年とともに、それが『いいな』と感じてくる。でも、やっぱりちょっと照れくさい(笑)」。
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「恥ずかしさ混じりのむずがゆさの比重がどんどん変わって、“嫌”と“いいな”がひっくり返っていく。それが家族なのかなと思う。ちょっと年を取ってから許し合え、認めてくるのかな。不思議ですね、家族って。タイミングは皆さん違うと思うんだけど。小鉄も父親に似てると自分で分かってるんけど、それを絶対認めたくない。でも、血は争えないということは『台風家族』を見ても思う。だから僕はラストがすごい好き。あそこを見てほしいな」。
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小鉄は若い頃、夢を追いかけるために家業を継がず、家を飛び出す。その後の挫折を揶揄する弟妹に「俺はまだ夢の途中だ!」と叫ぶ場面がある。10代から活躍してきた草なぎさん自身、いまは夢の途中なのか、それとも夢はもう叶ったのだろうか。
「こういう世界に入って、人前で歌ったりお芝居したりということをやりたかったので、その意味では叶っていると思うんです。だけど、その夢をどういう形に、もっともっとより良くつくり上げていくのかという意味では、やっぱり夢の途中っていうことかな」
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