【インタビュー】果てない魅力の底に堕ちて…はじめての、もっと知りたい、俳優・綾野剛の素顔

アスリートのごとく、堅実に役に打ち込む姿を現場で目にする機会が観客にはなくとも、物語内の一挙手一投足で「綾野剛」ではなく「その人物」がさも存在しているかのように受け止められる。ゆえに、役を生きるための途方もない努力も想像に難くない。

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綾野剛『影裏』/photo:You Ishii
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俳優・綾野剛にとって、肉体、心、持ちうるものすべてを投じて作品に臨むことは「当たり前」なのだろう。アスリートのごとく、堅実に役に打ち込む姿を現場で目にする機会が観客にはなくとも、物語内の一挙手一投足で「綾野剛」ではなく「その人物」がさも存在しているかのように受け止められる。ゆえに、役を生きるための途方もない努力も想像に難くない。

多くの俳優賞を受賞してきた綾野剛「こういうときこそ自分を褒めなきゃいけない」


綾野さんが役者を始めたのは21歳の頃。2013年、『横道世之介』、『夏の終り』で、日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞したのを皮切りに、翌年から続けざまに様々な映画賞、ドラマ賞において、その名が散見されるようになった。まもなく行われる第43回日本アカデミー賞においても、『閉鎖病棟 ―それぞれの朝―』で優秀助演男優賞を受賞し、最優秀賞受賞の期待もかかる。綾野さんにとって、賞はうれしい? 取るに足らない? それとも――。

綾野剛『影裏』/photo:You Ishii
「賞は、どこまでも他力で決まるんです。だから、アスリートみたいに自力で勝ち取る一等賞ではない。どれほど自分じゃない誰かに、その人物が焼きつき共鳴したか、でしかないのかなと思っています。評価をされることは素直に喜ぶべきことだし、つべこべ言って自分を過小評価するのではなく、ちゃんと、こういうときこそ自分を褒めなきゃいけないし、肯定しなきゃいけないですよね。今日までやってきたことは、ある一片では正しかったし、その姿勢が現場を越えてたくさんの人に届いたんだ、と。言い方を変えれば“日本映画を盛り上げてください”というエールだと思っているので」。

「日本映画を盛り上げ」という言葉をひときわはっきりと発した綾野さんは、一言、一言、言葉を置くように丁寧に続ける。

「あくまで僕の主観ですけれど、世の中、自分自身を肯定するということさえも潔癖になっていないかな、と。もっともっと自分を褒めてあげようよ。そして、自分で自分を褒められなくても、周りがあなたのことをちゃんと評価してくれている、褒めてくれていることも素直に受け止めようよ、って」。

綾野剛『影裏』/photo:You Ishii
自分に向けていた言葉が、いつしかいまを生きる人たちへの優しいメッセージに変わっていた。「もっと自分たちを称えていいと思うんです。もっと自分に優しく。そうじゃないと、自分じゃない誰かを優しくすることなんて…」と綾野さんは話し、ふと目線を上げ「そうですよね」と穏健に反芻した。

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《text:赤山恭子/photo:You Ishii》

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