“綾野剛”が自分を甘やかしてあげるときはある?40代に向けて…
綾野さんにとって演じることは、「生活をするためのものではなく、生活なんです。呼吸するのと変わらないんです」と定義する。そして、過去を見つめ、「自分を救ってくれたのは、唯一、映画、役者であることだった気がします」と希望を見出したことを吐露。「救ってもらったから何かをするわけではなく、応えたいという気持ちは、とっくに超えちゃっている感覚があります。救ってもらうために、最早、映画をやっていないんです」と。
1月に38歳を迎えたばかりだが、40代に向けて、綾野さんはどんな進化をしていくのか。意外なリアクションが返ってきた。
「…どんどん腰が重くなっていくじゃないですか(苦笑)。人並みに重さはあるんですよね。いまは芝居は40(歳)と、自分の中でなんとなく見据えています。のらりくらりやっていたらバレるから、絶対にやりたくないんです。バレたときには、作品にひどいダメージを自分は与えてしまう。それこそ、本末転倒だから」。
「だから、まずは40までに何ができるか。ずっと役者を続けていくためには、鮮度がいい状態でいたい。鮮度を高めるためには、自分の鍛錬ももっと必要だし、新しいもの、美しいものをもっと見て、知らない世界に飛び込む勇気も持たなきゃいけない。40になったときに“役者を続けよう”と思える自分が、21で役者を始めたときのように、もう1回始め直したいんです。30になったときも始め直した。厳しいかもしれないですけど、そう向き合っていますね」。
演じることへの強い責任とこだわり、最上の作品を届けるために惜しみなく捧げてきた覚悟が、いくつもの高いハードルを超えてきた。
おしなべてストイックな綾野さんだからこそ、ふと疑問が浮かぶ。「自分を甘やかしてあげるときは、あるんですか?」。綾野さんは小さく「おっ」と口をすぼめた後、予想もつかないチャーミングな返答を。
「ありますよ! 昨日は、ジャイアントカプリコ、ふたつ食べました。甘やかしたね~(笑)。ずいぶん食べていなかったんですけど、イチゴ味がダントツに好きなんですよ。もはや1個で収まらないところが甘やかしですよね。大人は、そこで止まりますからね。2個いっちゃった、っていう。最後は、惰性で押し込みました(笑)」。
真面目なトーンのインタビューが続く中、サービス精神にあふれた綾野さんによる究極の「甘やかし」回答で、一気に取材場のムードもほどけていった。子どものように無邪気にはしゃげる姿も、綾野剛の魅力の一片、と記したい。