監督と共に役を作り上げる楽しさ

芥川賞作家・又吉直樹による恋愛小説を、『GO』『世界の中心で、愛をさけぶ』『ピンクとグレー』などの行定勲監督が実写化した本作。山崎さんは、中学生時代の友人と劇団「おろか」を立ち上げ、脚本家兼演出家を務める演劇青年・永田を演じている。
この永田という男は、演劇に身も心も捧げる一途な表現者だが、その自意識とうまく折り合いをつけることができず、周囲ともうまくやっていけない。特に自分の才能を信じてついてきてくれる松岡茉優さん演じる恋人の沙希に対しては、客観的にみてかなりダメな男である。
そんな困った人物だが、山崎さんは「台本を読ませてもらって、人間の弱い部分に共感できました。俳優も劇作家も、表現者としては共通する部分が感じられたので、ぜひやりたいという気持ちでした」と前のめりでオファーを受けたという。

もともと行定監督の作品が好きだったという山崎さん。現場では行定監督が若手俳優たちと同じ目線になり、永田という人物像を一緒になって立体化していってくれた。その作業はかけがえのない時間だった。
「行定監督も舞台の演出をされているので、永田というキャラクターに思い入れが強かったということもあると思うのですが、いろいろなアイデア、例えば永田がどんな種類の人間なのか、どんなアイデンティティを確立しているのか…そういったことを鑑みると、髪型はこうなるかなとか、髭もはやした方がいいか…なんてことを相談しながら作っていく作業はとても楽しかったです」。