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芥川賞作家・又吉直樹の大ベストセラー「火花」に続く、第2作目の同名恋愛小説を行定監督が映画化した本作。山崎さんと行定監督は、3か月越しで映画館で上映できること、無事公開を迎えたられたことへの想いなどを語り、この日、登壇がかなわなかった松岡茉優からはビデオメッセージが寄せられた。
まず、映画がついに公開となった気持ちを聞かれた山崎さんは「この映画は劇場で観て欲しい作品なので、こういう風に初日をやっと迎えられて本当に嬉しく思います」とコメント。行定監督も「4月に公開を予定していた時よりちょっと公開規模は縮小したんですが、映画館で上映できる喜びを凄く噛みしめております」と話し、「僕はこの2020年7月17日に自分の新作が公開されたということを一生忘れないんじゃないかと思います」と感慨深げに挨拶した。
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演劇に没頭しながらもうまくいかない現実に悩むシーンが多く、時には唯一の理解者で、ひたむきに応援してくれる恋人の沙希(松岡さん)にも当たってしまうこともある劇作家・永田というキャラクターに、様々なインタビューで“共感できる部分もあった”と語っていた山崎さん。
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「永田の人間としての弱さとか、愚かさとか、嫉妬心」に共感したと語り、「僕も俳優という仕事をやらせて貰っている中で、表現するという意味では近いところもあって、普段自分が抱えているような感情が一杯ありましたし、台本を初めて読ませて頂いたときに演じてみたいシーンが一杯ありました。人間って愚かな部分がたくさんあると思うんですけど、ここまで愚かな部分を出せる役が初めてだったので、本当に永田が演じられて嬉しかったです」と永田に巡り合えたことへの感謝を口にした。
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実際に、永田は山崎さんがこれまでに演じられてきた役とかなり違い、スクリーンにはこれまで見たことのないような山崎さんの姿が映し出されている。行定監督は、「誰が永田をやればいいのか原作を読んで思いつかなった」と語りながらも、「プロデューサーからの提案で山崎賢人は、と。思いもしないですよね。というのは山崎賢人がこれまでそういう役をあまりやってきていないから。それを聞いてこれは良いと思って(笑)やっていない人間がやるのが一番僕の気持ちを凌駕してくるんですよね」と述懐。
その後、山崎さんと対面した際には「先ず汚したい!と思ったんです(笑)」と監督。「汚すために『髭とか生える?』とか『髪の毛ボサボサにしてさ!』とかって言うと結構本人がノっていて。素直で、いい意味でちょっといかれてるんです。無自覚に色んな表情するし、やっていて凄く楽しかったですね。得体が知れない山崎賢人が現場にいて、その場その場の衝動を撮るのに必死だったんです。それを皆さんに披露できるのが嬉しいですね」と嬉しそうに打ち明けた。
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一方の山崎さんも「行定さんと映画を作っていく過程は最初に出会った時から楽しくて(笑)永田を作っていく上で、普段舞台の演出もされている行定さんのエッセンスを現場で感じながら永田に入れてみたり。仕草一つ一つ一緒に作っていくのが楽しかったですね」と振り返り、監督と主演の相思相愛ぶりを見せた。
ここで、スケジュールの都合で参加が叶わなかった沙希役の松岡さんよりビデオメッセージが到着。松岡さんは「今回の(Prime Video配信という)新しい試みに対して、海外にいる山崎くんや私や行定監督のファンの方が同時に観られるのが嬉しい!という感想を頂いて嬉しかったですし、すごく良いことなんじゃないかなと思いました」とコメント。
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「私と山崎くんが演じた永田と沙希ちゃんの7年間の恋の物語、そして夢の物語。恋をしたことがある人、夢を追いかけたことがある人、そして忘れられない人がいる人が、過去と向き合うのも悪くないんじゃないかなって思える映画じゃないかな思います。楽しんでください!」とアピールした。
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そんな松岡さんに対し、「本当に頼もしい女優さんだなと思いますね」と山崎さん。「ほぼ2人芝居だったので、お芝居出来てすごく嬉しかったです」と話し、「こういう時期だからこその試みだと思いますし、だからこその伝わり方があると思うので、本当に全世界の皆さんに同時に『劇場』を観て頂いて、伝わっていけばいいなと思います」と語った。
そして、最後に「今日映画館の入り口に『劇場』の大きな看板がかかっていて、鳥肌が立つ、感じたことのない感動を覚えました。当たり前のようにスクリーンで上映して舞台挨拶をして、というのが今となっては奇跡的な素晴らしい出来事だったんだと感じられる初日を迎えられました。この映画は一人で向き合ってもいいし、色んな人達と見終わった後に語り合ってもいい映画です。この映画を堪能して頂ければと思います」と、リモート先の観客へ熱く語りかけた行定監督。
また、「劇場公開と同時配信という形になったんですけど、こういう時期だからこそポジティブに考えていければと思っています」と山崎さん。「この映画の永田と沙希ちゃんも、どうしようもない時間とか苦しかった時間とか自分の愚かさだったり、そういうものがあるからこそ、人とは違う景色が観れていると思いますので、そんなどうしようもなかった時間も自分の中で肯定できるようなきっかけにこの映画がなってくれたらと思います」と真摯に語る。
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「大切な人に対して普段の自分はどうなのかなと振り返るきっかけにもなると思います。この映画を観てくれた全ての人が、いい未来に向かっていけるようになってくれれば嬉しいなと思います。ありがとうございました」と、貫禄も感じさせる言葉で挨拶し、イベントは終了。
上映終了後には、監督によりティーチインが行われ、「最近スクリーンで観るっていう行為が特別なものに思えてきていて、大きいスクリーンにかけられるものっていうのは簡単にできないっていう時代がもしかしたら来るかもしれないですね。それでもスクリーンにかかる絶対的な映画を目指そうと思います。配信も観てみたんですけど、結構よかったですけどね(笑)」と語りかけた。
さらに監督からは、自転車の二人乗りシーンは東京都内は交通法により撮影NGだったため、撮影可能な別場所を探して撮影したこと、そのシーンで印象的な桜はキャストの撮影時には咲いておらず、桜が満開となる時期に全く同じカットを撮影して合成したという裏話も飛び出し、観客を驚かせていた。
『劇場』は全国にて公開中、Amazon Prime Videoにて全世界独占配信中。