1961年、ロンドン・ナショナル・ギャラリーで実際に起きた名画盗難事件を基にした実話の映画化『ゴヤの名画と優しい泥棒』。この前代未聞の大事件の犯人は、名優ジム・ブロードベントが演じる60歳のタクシー運転手ケンプトン・バントン。今回、ケンプトンの妻ドロシーを演じたヘレン・ミレンの劇中写真とともに、ヘレンとロジャー・ミッシェル監督のコメントが解禁された。
>>『ゴヤの名画と優しい泥棒』あらすじ&キャストはこちらから
これまで『クィーン』では英国君主エリザベス女王、『RED/レッド』シリーズでは元凄腕の殺し屋、『グッドライアー 偽りのゲーム』では詐欺師を演じ、『ワイルド・スピード』シリーズではカーアクションもこなすなど、幅広い活躍を見せるヘレン・ミレン。そんな彼女が本作で演じたのは、ケンプトンの長年連れ添った妻・ドロシー役。ケンプトンが職を転々とする一方で、家政婦として働き続けてきた。

今回解禁となった場面写真では、エプロン姿で掃除機をかけ、スポンジで暖炉を磨き、雇い人のドレスの着替えを手伝う、かつて女王を演じたヘレンのイメージを覆す姿が収められている。

ヘレンは、脚本と自身の役どころについて「愛情あふれる脚本に魅せられました。私は60年代という時代も大好きなんです。私が演じたドロシーという女性は地に足が付いた人。夫のケンプトンは夢想家だけど、いろいろな意味でとても献身的で勇気がある人だと思います」と明かし、続けて「ケンプトンだけでなく、ドロシーの態度も見習うべきですよね。夢を見るのはとてもいいことだけど、月々の支払いは待ってくれないから(笑)。だから、現実的な生活をしている人たちの声も聞くべきなんです」と語っている。

ケンプトンに関する情報はたくさんあったが、脚本と1枚のドロシーの写真だけで役作りをしなければならなかったというヘレン。その写真を見て、キャラクターになりきるためには肉体的な改造が必要だと感じたという。昨年9月に逝去したロジャー・ミッシェル監督の長編遺作となる本作だが、生前の監督は「ヘレンがドロシーになりきる準備をしていたことにとても驚きました。彼女は、まったく何の気負いも衒(てら)いもなく自分を変えていったんです。観客は彼女がやったことに驚くはずです」とヘレンの変貌ぶりを称えている。

一方、ヘレンは監督について「この映画の物語には、彼の優しさ、素晴らしいユーモアのセンスそのものが反映されていると思います。物語と彼自身が真に融合していたんです」と回想している。

『ゴヤの名画と優しい泥棒』は2月25日(金)よりTOHOシネマズ シャンテほか全国にて公開。