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『コーダ あいのうた』シアン・ヘダー監督、セクハラ問題にも言及 ハリウッドは「変わってきている」

『コーダ あいのうた』シアン・へダー監督のインタビューがシネマカフェに到着。

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『コーダ あいのうた』(C) 2020 VENDOME PICTURES LLC, PATHE FILMS
『コーダ あいのうた』(C) 2020 VENDOME PICTURES LLC, PATHE FILMS 全 12 枚
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アカデミー賞で作品賞、助演男優賞、脚色賞の3冠に輝いた『コーダあいのうた』で脚本・監督を手掛けたシアン・ヘダーのインタビューがシネマカフェに到着。受賞後のリアルな心境や、共に作品賞にノミネートされた『ドライブ・マイ・カー』濱口竜介監督への熱烈ラブコール、そして、日本はもとよりハリウッドでも続々と表面化するパワハラ、セクハラ問題についても語ってくれた。


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2021年4月、サンダンス映画祭で上映されるや世界のバイヤーがその配給権に殺到、史上最高額の26億円でアップル社が落札し世界を驚かせたかと思えば、3冠に輝いたアカデミー賞でもその名が挙がるたびにASL(アメリカ手話)での拍手(手のひらをひらひらとさせる)が会場を包み、世界中を温かな気持ちで満たした本作。

授賞式で作品名が呼ばれたときは「夢を見ているようでした」とへダー監督はふり返る。「受賞後に映像に映る自分の顔を見たのですが、目が見開かれて、夫を見て、実際に『コーダ あいのうた』と呼ばれたことが『信じられない!』という顔をしていました」と笑う。

アカデミー賞授賞式の数週間前から、急激に受賞への注目度が上がっていた本作。「実際、受賞の可能性に対しての話題がたくさん出ていましたが、それが実現するとは思えなくて」と、はにかみながらも「私たちの作った小さな映画がこういう道のり、旅をしてきて。それがまさか、この小さな映画が作品賞を獲るなんて! そのことをなかなか受け入れることができなかったんです」と正直に吐露。

「だから実際に受賞した時は、もう純粋に喜びと高揚感に満ち溢れていました」と思い返し、そして「ステージで、1人のろう者の役者さんではなく、この映画で重要な役割を果たしている3人のろう者の役者さんたちと一緒にステージに立てたことはとても美しい瞬間でした」とも続ける。マーリー・マトリンがろう者初の俳優としてアカデミー賞を受賞してから35年たったいま、同じくろう者俳優であるトロイ・コッツァーの今回の受賞など、本作に光が当たることが、ろう者のコミュニティにとっても大変重要な瞬間であったという。

『ドライブ・マイ・カー』濱口監督は「敬愛するアーティスト」
『ドライブ・マイ・カー』

また、同じ作品賞ノミネート作として肩を並べ、国際長編映画賞を受賞した日本映画『ドライブ・マイ・カー』については「今年見た全ての映画の中で最も好きな映画の一本です」と絶賛するへダー監督。「村上春樹とそのストーリーテリングをとても美しい形で捉えていると思います」と語り、「人間であることの痛み、愛する人を失うことの痛みを受け止め、そして起きたことと向き合う<ツール>としてのアート、それに対するラブレターのようにも感じました」「永遠に私の記憶に残る映像もあり、人間であることに対する美しく壮大な詩だと思う」とその理由を語った後、「濱口監督とアカデミー賞を通して会えたこと、友人になれたこと、お互いの作品を享受できる、というのはとても嬉しいです。とにかく私はこの作品(『ドライブ・マイ・カー』)が大好きです!」と賛辞が止まらない。

「濱口監督と一緒にディナーをしたときは、まだ彼の映画を見ていなかったので、どのくらい『ドライブ・マイ・カー』を好きなのかをぜひお伝えしたいです」というリクエストも。「どのくらい感動したか、視覚的にも、エモーショナルな意味でもアーティストしてどのくらいインスパイアされたかを伝えたい」「何らかの形でこの先コラボレーションができたら。本当に敬愛するアーティストですから!」と、ラブコールを送った。

ハリウッドの女性監督たちは「どんどん仕事をしています」

続いて、日本でも問題視される映画業界のパワハラ、セクハラにも言及。現在のハリウッド映画界に関しては「変わってきていると思う」と監督は明るい兆しがあると語る。「15年前に女性監督としてキャリアをスタートさせた時に比べると、今はぶつかる壁が当時より遥かに少ない。テレビのエピソードを初めて監督した時を思い出すと、スタッフからもの凄い抵抗『彼女(女性監督)を、どう扱ったらいいんだろう?』という雰囲気がもの凄くあったのを覚えていますね」と打ち明ける。

しかしいまでは、そのようなことを現場で感じることはないという。「女性監督の友人たちを見ていてもどんどん仕事をしていますし、企画も制作費が集まっています」と言い、そして「女性ということ以外に、他の形でも多様性を受け入れる考え方、つまり、人種的多様性、LGBTQコミュニティ、障がい者コミュニティに対してよりオープンになっていると思います」と述べた。

歌と、手話と、漁業と、斬新な組み合わせがケミストリーを起こし、奇跡のような結果を生みだした『コーダ あいのうた』。最後、次回作について構想を質問されると「常にアウトサイダーや取り残されている人々や社会の端に追いやられ、自分の居場所を獲得するために戦わなければいけなかったような人々に惹かれます」と監督。「キャラクターや彼らの道のりを掘り下げる、という作業を通して私たちは自ら変わったり、なんらかの形でよりオープンになったり。それまで“気づかなかったこと”に対して気づきを得ることができると思う」。だから「ストーリーは社会に変化を起こすことのできるパワフルなツールになりうると思うし、『コーダ あいのうた』でも私はそれを体験してます。今後もそういう作品を作っていきたい」と意欲を見せていた。

『コーダ あいのうた』は全国にて公開中。

《シネマカフェ編集部》

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