【インタビュー】是枝裕和監督 ソン・ガンホやペ・ドゥナらと過ごす中で大事にしたものは現場の“ライブ感”

是枝裕和監督の最新作『ベイビー・ブローカー』が、第75回カンヌ国際映画祭で最優秀男優賞(ソン・ガンホ)とエキュメニカル審査員賞を受賞した。

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是枝裕和監督『ベイビー・ブローカー』撮影:斉藤美春
是枝裕和監督『ベイビー・ブローカー』撮影:斉藤美春 全 16 枚
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是枝裕和監督の最新作『ベイビー・ブローカー』が、第75回カンヌ国際映画祭で最優秀男優賞(ソン・ガンホ)とエキュメニカル審査員賞を受賞した。

本作は、赤ん坊を匿名で預けられる“赤ちゃんポスト”を題材にした物語。預けられた赤ん坊を非合法に売るブローカーのサンヒョン(ソン・ガンホ)とその相棒ドンス(カン・ドンウォン)、赤ちゃんポストに子どもを預けた母親ソヨン(イ・ジウン)の3人が織りなす旅路を描く。また、『空気人形』ほか是枝監督の信頼も厚いペ・ドゥナが、3人を追う刑事スジンに扮している。

シネマカフェでは、是枝監督にインタビューを実施。企画開発の過程や、ソン・ガンホやペ・ドゥナとのエピソードについて語っていただいた。

「赤ちゃんポスト」と「善意を悪用する」というアイデア


――『そして父になる』の制作に際し、リサーチを進める中で日本の赤ちゃんポストである熊本市の“こうのとりのゆりかご”について書かれた書籍と出合ったそうですね。

2016年に「ゆりかご」というタイトルのプロット(作品の概要を数枚にまとめたもの)を書いた時点で、「神父の格好をして出てきたソン・ガンホがすごく善人のふりをしているけど、預かった赤ん坊を裏でお金に換えている」というものがあって。まずそこを思いついちゃったんです。

ひょっとしたらがっかりされてしまう目線かもしれないけど、社会的なテーマが先にあったというより「色々な善意で成り立っている赤ちゃんポストというものを裏切って利用する人たちの話にしよう。ソン・ガンホがこんな役をやっていたら面白い」がまずありました。

もちろん『そして父になる』をやったときに、日本では養子縁組や里親制度がなんで進まないんだろうという問題意識を持っていたし、その時点で“こうのとりのゆりかご”について書かれた本を読んで「赤ちゃんポスト」という題材に非常に惹かれたのは間違いないけど、「善意を悪用する」というある種の不謹慎なアイデアも同時に持っていて。

――是枝監督はこれまで様々な家族の形を描いてきたように感じています。血縁関係ではなくつながっている人々であったり、経済的な格差であったりと『ベイビー・ブローカー』は『万引き家族』と共通する点も多いですね。

『そして父になる』から枝分かれして、『万引き家族』と『ベイビー・ブローカー』は同時期にプロットを書いているんです。そういった意味でも、この2作は兄弟という感じがしますね。

――『誰も知らない』から『ベイビー・ブローカー』に至るまで、日常と“事件”が地続きにある物語が是枝監督の作品のひとつの特徴とも感じます。

なるほど。自分ではあまり分析して見ていないですね。逆に言うと、意識していないのにそういった共通点があるのはもうちょっと本質的なところなのかもしれない。


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《text:SYO》

SYO

物書き SYO

1987年福井県生。東京学芸大学卒業後、映画雑誌の編集プロダクション、映画WEBメディアでの勤務を経て、2020年に独立。映画・アニメ・ドラマを中心に、小説・漫画・音楽・ゲームなどエンタメ系全般のインタビュー、レビュー、コラム等を各メディアにて執筆。並行して個人の創作活動も行う。

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