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「夫婦が壊れるとき」&「夫婦の世界」&原作ドラマを見比べ!日韓英、それぞれの見どころは?

稲森いずみ主演の“金曜ドラマDEEP”枠・第1弾「夫婦が壊れるとき」が大反響。毎週、衝撃を与えているようだ。そこで、原作となったイギリスのBBCドラマと、高視聴率を記録した韓国ドラマ、それぞれの見どころを紹介しながら今後の注目ポイントに迫った。

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「夫婦が壊れるとき」
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TVer見逃し配信が全話累計600万回再生超え(第1話~第3話と2本のスピンオフ合算)、公式TikTokでもトータル再生回数600万回を突破するなど、新設枠の深夜帯ドラマながら、稲森いずみ主演の“金曜ドラマDEEP”枠・第1弾「夫婦が壊れるとき」が反響を呼んでいる。

完璧な人生だと信じていた主人公の医師が、夫の不倫と、隣人や同僚たちの裏切りに直面し、さらに不倫相手と直接対峙していく怒涛の展開が毎週、衝撃を与えているようだ。

そこで、原作となったイギリスのBBCドラマと、高視聴率を記録した韓国ドラマ、それぞれの見どころを紹介しながら今後の注目ポイントに迫った。

※一部、今後予想される展開に触れています。ご注意ください。


見逃し再生数が驚異的
稲森いずみ主演「夫婦が壊れるとき」


稲森さんが演じる真壁陽子は、映画監督の夫・昂太(吉沢悠)とひとり息子・凪(宮本琉成)に恵まれ、クリニックの副院長で内科医として働き、完璧な生活を送っている。札幌出張から戻った夫と愛し合った翌朝、夫のジャケットから女物のリップが転がり落ちた。そして、その日たまたま借りた夫のマフラーから、自分のものとは違う1本の長い髪の毛を見つける。やがて、昂太が地元の名家のひとり娘・佐倉理央(優希美青)と不倫をしていると知った陽子は、同時に信頼していた同僚の産婦人科医・佳奈子(内田慈)や隣人夫婦(安藤聖&内田朝陽)、昂太の部下・彩(黒澤はるか)らの裏切りをも知ることに――。

昂太が主役のパーティの最中に、彼の車のトランクからもう1台の携帯電話を見つけ、真実に気づいてしまう衝撃の瞬間は原作も韓国版も同じ。怒りに震えながら片手にハサミを隠し持ち、平静を装って夫に近づいていくところも白眉のシーンで、稲森さんの鬼気迫る演技には息を飲む。

「夫婦が壊れるとき」第3話より

そして、不倫を否定しつつ、理央には「本当に愛してるのは理央だ」と臆面もなくささやく夫・昂太の最低ぶりは日本版でも健在。いずれ、昂太が経営する映像制作会社が倒産寸前であることも明らかにされていくはず。また、陽子は患者の芽衣(結城モエ)を恋人・峯田(犬飼貴丈)のDVから救いながら、理央に近づくよう頼むが、峯田は今後も厄介な関わり方をしてくる。

理央の父・佐倉徹郎(矢島健一)は方々に顔が利く有力者。母・美南(七瀬なつみ)は陽子の患者だ。その2人が愛娘の不倫と妊娠を知ったらどうなるだろうか? どこまで原作に沿うのかはまだ不明な部分はあるものの、復讐に腹をくくった陽子と、昂太と理央、佐倉夫妻が一堂に会する、あまりに刺激が強すぎるディナーは今後楽しみにしてほしい見どころ。

さらに、第4話でクリニックを訪れた弁護士・神崎との会話のなかで陽子の真意が明らかにされていた。浮気について「魔が差した」などという言葉もあるが、“過ち”自体は確かに誰にでもあること。だが、陽子が許せないのは“過ち”ではなく、取り繕うために重ねる“嘘”。愛した人の嘘は、陽子がこれまで築きあげてきた人生やプライドまでも否定する最大の裏切りとなる。

新予告編でも公開された、神崎と交わされる「家、親権、財産…絶対に手放したくないものは何か?」の問いに対する陽子の答えが、苛烈な復讐となって昂太が手にしている“すべて”へと向かっていく。そのためなら「どんなことだってする」陽子。実際に「そこまでする!?」と驚愕せずにはいられない展開が、この先も待ち受けている。


■第5話あらすじ
陽子は理央の中絶手術が決まったことを知り、全てを終わらせるために昂太を問い詰める。正直に浮気を認め、一時の過ちとして終わりにしてくれたら、時間はかかるかもしれないが許したい。だからウソだけはやめて…。そんな陽子の切なる願いもむなしく、昂太は素っとぼけた上に、疑われて傷ついたのは自分の方だと逆に陽子を責める。
絶対に許さないと決意した陽子は、佳奈子に電話をかけ、理央の妊娠を昂太に伝えるよう頼む。佳奈子から妊娠を伝え聞いた昂太は慌てて家を出て理央のマンションに向かう…。
一方、陽子は相談相手を求め、義母・由紀(松本留美)を見舞う。由紀の病状が悪化していると聞いてやるせない思いの陽子は、ベッドの上の由紀から、自分がいなくなっても昂太のそばにいてあげてほしいと頼まれ複雑な心境に。だが、その裏で、昂太と理央はある約束を交わしていて――。


「夫婦が壊れるとき」は毎週金曜深夜24時30分~日本テレビで放送中。Hulu、Tverで見逃し配信中。


原作は英ドラマ「女医フォスター」
世界各国でリメイク版が制作


「夫婦が壊れるとき」の原作となったのは、イギリスBBCにて2015年・2017年に2シーズンわたり放送された「女医フォスター 夫の情事、私の決断」(原題「Doctor Foster」)。主人公のジェマ・フォスターはロンドン郊外のバーミンスター医院で“院長”を務め、地域の家庭医(総合診療医)として確固たる地位を築き、不動産業を営む夫のサイモンとサッカー好きの息子トムとともに完璧な日々を送っている、という設定。

職業柄、地域の住民はほぼ顔見知りという中、夫・サイモンから借りたマフラーに自分のものとは違う長いブロンドの毛がついていたことが疑惑の始まりとなり、サイモンの40歳の誕生日パーティーに夫と隣人、同僚の裏切りを知ることになる。交際相手からDVに遭っていた女性を救い、睡眠薬の処方と引き換えに彼女に夫の不倫相手について調べてもらう点は、日本版、韓国版にも引き継がれている。

医師ジェマを演じたのは、今作で英国アカデミー賞(BAFTA)TV部門やナショナル・テレビジョン・アワード(NTA)などで主演女優賞に輝いたサランヌ・ジョーンズ。2021年のイギリス国内最大のヒットドラマ「原潜ヴィジル 水面下の陰謀」ほか、「ジェントルマン・ジャック 紳士と呼ばれたレディ」では19世紀に実在し、イギリスで初めて女性と結婚式を挙げたLGBTQ+のアイコン的存在であるレズビアン、アン・リスターを凛として演じており、本国では誰もが知る実力派俳優。

聡明で自信に満ち溢れていたジェマが、ときに親として、医師としての倫理観さえ揺らぐほどに心乱されながら“最低夫”に復讐をしていくわけだが、特にシーズン2で起こった“とあるシーン”は、まるで互いに一歩も引かない壮絶な夫婦ゲンカ! 凄みを感じさせる熱演を見せている。これは日本版でも、いずれ描かれることになるだろう。

そして、不倫相手のケイトを演じたのはジョディ・カマー。今作で脚光を浴び、後に「キリング・イヴ/Killing Eve」の暗殺者ヴィラネル役でBAFTAやエミー賞を受賞するなど大ブレイク。リドリー・スコット監督の『最後の決闘裁判』やライアン・レイノルズ主演の『フリー・ガイ』に起用され、『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』にもカメオ出演を果たすことになる最注目俳優のキャリア初期を目にすることができる。

ジョディ・カマー

また、四面楚歌の女性が多大な犠牲を払いながら孤軍奮闘する物語ながら、日本に来ると原題の「Doctor Foster」(医師フォスター)は“女医”となり、「夫の情事、私の決断」という分かりやすい副題がつけられてしまう。

「女医フォスター 夫の情事、私の決断」はHulu、Amazon Prime Video、U-NEXTなどで配信中。


最高視聴率28.4%!韓国で社会現象級の大ヒット
「夫婦の世界」


韓国リメイク版「夫婦の世界」(2020)は、スリリングな愛憎ラブロマンスとして韓国ケーブルドラマ史上最高視聴率28.4%を記録、幅広い世代で話題となった。コロナ禍の日本では「愛の不時着」や「梨泰院クラス」が“第4次韓流ブーム”の中心となっていたが、本国で話題を独占していたのは今作。

主人公は、郊外のクリニックで副院長として周囲から厚い信頼を集めるチ・ソヌ。マフラーに見つけた1本の長い髪、15年連れ添った夫イ・テオと20代の女性ヨ・ダギョンとの不倫の発覚、周囲の裏切り。傷つくソヌの前にダギョンが訪れ、妊娠が判明する…といった流れは同じ。

不倫夫の衝撃的な本性を暴き、時に心乱されながら復讐へと向かうソヌを演じるのは、2人の女性がソウル市長選を目指すNetflixシリーズ「クイーンメーカー」や、北海道・小樽が舞台となった映画『ユンヒへ』などで知られるキム・ヒエ。百想芸術大賞の女性最優秀演技賞などを受賞し、絶賛されたキム・ヒエもまた韓国を代表する俳優の1人。

原作の英ドラマでは主人公の医師ジェマ・フォスターがタイトルロールだったが、日本も同様、家父長制・家族主義が重んじられる韓国では、物語は“夫婦”のものとなる。不貞をした女性のみならず、離婚した女性への風当たりも強い。

ダギョンの父親で、地元の有力者であるヨ会長の権力も随所で強調されており、最後の最後に“片をつける”際も存在感たっぷり。だからこそ、そこに立ち向かうソヌ、そしてダギョンのキャラクターの輪郭がはっきりとする。ダギョンの母親であるヨ会長夫人や地元議員夫人ら妻たちは“女友会”として集まりつつも噂話三昧だが、事あるごとに「これだから女は…」と言うクリニック院長によるミソジニーに対抗するように、シスターフッドを感じさせる場面も。

共通していえるのは、従来のドロ沼不倫ドラマなら家庭を壊した女性は憎まれ疎まれる役どころとなるはずが、ステレオタイプ的な悪女としては描かれていないことだ。自己愛や保身で嘘をつき続け、裏切るのは男性たち。特に、「わかっていても」で後に日本でも大人気となるハン・ソヒが演じたダギョンは、その心情の変化がより丁寧に描かれ、最低男に出会わなければ確かにあった未来の可能性を想像させる。

さらに原作より話数が増えていることで広がったのが、ソヌとDVに遭う女性ヒョンソとの関係性と、愛憎入り交じった諍いを繰り返す両親を間近で見続けて深く傷ついた子どもへの影響だ。ダギョンに近づくヒョンソは逃げても逃げてもDV男に翻弄され続け、彼女もまた重大な決断をする。最低男を捨てきれないソヌに、真理を突く発言ができるのも彼女だけ。

日本版「夫婦が壊れるとき」ではそのDV男を演じる犬飼さんが注目を集めていることもあり、より韓国版に近い描かれ方になりそうな予感。夫・昂太が売れない映画監督という設定も韓国版と同じだ。

第4話で描かれた陽子の診察中には、理央が「彼、妻子持ちなんです」と切りだし「結婚って面倒ですね」と挑発するように話したが、理央の妊娠が判明すると「相手が結婚してるって面倒ね」と動揺を隠しながらも精一杯の強気で返す陽子の姿があった。

「夫婦が壊れるとき」第4話より

この2人の初対峙のやりとりも、実は韓国版で付け加えられたもの。この後も、面倒で厄介だが、たやすく断ち切ることのできない“結婚”、そして“夫婦”という形に縛られていく女性たちの運命に引き続き注目してみてほしい。

「夫婦の世界」はHulu、AmazonPrimeVideo、Netflix、U-NEXTなどで配信中。


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《上原礼子》

「好き」が増え続けるライター 上原礼子

出版社、編集プロダクションにて情報誌・女性誌ほか、看護専門誌の映画欄を長年担当。海外ドラマ・韓国ドラマ・K-POPなどにもハマり、ご縁あって「好き」を書くことに。ポン・ジュノ監督の言葉どおり「字幕の1インチ」を超えていくことが楽しい。保護猫の執事。LGBTQ+ Ally。レイア姫は永遠の心のヒーロー。

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