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【レビュー】“ハチャメチャだけど憎めない彼女”の辛辣でリアルな愛すべき再生物語「超サイテーなスージーの日常」

人生最大のピンチに直面した崖っぷち俳優の日々を容赦なく描いた英国コメディドラマ「超サイテーなスージーの日常」がスターチャンネルで独占配信中。BS10スターチャンネルでも放送スタート!

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「超サイテーなスージーの日常 シーズン2」© Bad Wolf (IHS2) Ltd. 2022.
「超サイテーなスージーの日常 シーズン2」© Bad Wolf (IHS2) Ltd. 2022. 全 15 枚
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かつての“国民的スター”を突如襲った思いがけないスキャンダル。それはハッキングによる、不倫現場の流出写真だった!

そんな崖っぷち俳優の日々を、芸能界への忖度もない怒涛の辛辣さで描いた英国コメディドラマ「超サイテーなスージーの日常」が今日から、Amazon Prime Video チャンネル上のスターチャンネルEXにて、全話配信スタート。待望のシーズン2の全3話も揃って独占日本初配信。TV放送の「BS10スターチャンネル」でも10月10日(火)より放送される。さらにこのシーズン2初放送を記念して、「BS10スターチャンネル」では9月26日(火)23:00 にシーズン1の第1話を無料放送ということで、絶好のお試しチャンスだ。


「超サイテーなスージーの日常」公式サイト

キャリアも家庭も崖っぷち!
「超サイテーなスージーの日常」シーズン1をふり返り


「超サイテーなスージーの日常」シーズン1

主人公は15歳でオーディション番組に出演し、その歌声で一躍ティーンスターとなったスージー・ピクルス。俳優に転身後はSFドラマで国民的人気を獲得したが、30代半ばとなったいまは大学教授の夫・コブと、ろうの息子フランクと3人で郊外暮らし。配信のB級ゾンビドラマや過去の栄光でコミコンに出演して仕事をつないでいる。

そんな中、久々に大きな仕事のオファー(あのディズニーから!)が入った矢先、なんとスマホがハッキングされ、不倫相手と撮った赤裸々な写真がネット上に大拡散されてしまう。

「超サイテーなスージーの日常」シーズン1

最初は何とか取り繕おうとしたものの、家庭もキャリアもぎくしゃく。やがて、余裕のなくなったスージーは親友でマネージャーのナオミとも大喧嘩。その上、何もかもが噛み合わない夫に離婚の意思を伝えたばかりなのに、妊娠テストをすると判定は陽性に。八方塞がりの元・国民的スター、スージーは独りぼっちで立ち尽くし…。

主演のビリー・パイパーと共同クリエーターのルーシー・プレブル(「キング・オブ・メディア」)、実生活では親友同士という2人が組んだ本作は、エンタメ業界で働く女性の本音やジレンマを包み隠さず描き、セクハラや性差別なども盛り込んだヒットドラマ。英国アカデミー賞(BAFTA)TV部門で作品賞・主演女優賞など3部門にノミネート、批評サイト「Rotten Tomatoes」95%フレッシュの高評価(シーズン2はなんと100%フレッシュ!)を獲得している注目作だ。

≪以下、ネタバレを含む表現があります≫


シーズン2はダンス・リアリティ番組に挑戦
不死鳥のように蘇る!?


「超サイテーなスージーの日常」シーズン2

どこかで見聞きしたことのあるエンタメ業界の光と闇のみならず、表舞台に立つ1人の女性が“超サイテー”な自分ととことん向き合いながら、ひと筋のスポットライトを探す旅路を描いた本作。確かに主人公のスージーはイタすぎて、居たたまれない。でも、彼女のことを嫌いなんてなれない親近感と、胃がキリキリするようなリアルさが本作にはある。

まず、主人公スージー・ピクルスを演じるビリー・パイパーの波乱万丈な芸能生活が役に投影されていることが大きい。1982年生まれのビリー自身、15歳でデビューシングルが全英チャート1位を獲得して最年少記録を作り、10代でひと回り以上も年の離れたセレブと結婚、そして離婚。その後、2005年からイギリスの国民的SFドラマ「ドクター・フー」にローズ・タイラー役として出演し、ナショナル・テレビジョン・アワードを受賞するなど人気を確立した。

「超サイテーなスージーの日常」シーズン1

劇中の写真流出はもちろんフィクションだが、現実にも数年前、何人ものセレブたちのプライベート写真がハッキングされて流出し、世界を騒然とさせたことがある。奇遇だが、リリー=ローズ・デップとエイベル・“ザ・ウィークエンド”・テスファイ主演でポップスターの名声とメンタルヘルスを描いたドラマ「THE IDOL/ジ・アイドル」も、同じように衝撃的な写真流出から物語の幕が開く。

スージーにとって写真流出は、1つの“死”も同じだ。尊厳を傷つけられた、社会的な死である。シーズン1のエピソード全8話のタイトルが、著名な精神科医エリザベス・キューブラー=ロスが提唱した「死の受容」のプロセスをアレンジした「衝撃」「否定」「恐怖」「羞恥」「取引」「罪悪感」「怒り」「受容」と段階を踏んでいるのもそのためだろう。なのに、ドラマのショーランナーという権力を持った不倫相手の男性は、まったくの“無傷”というアンフェアさだった。

それから半年後が舞台となるシーズン2では、愛する息子フランクや相棒だったナオミと離れ、家庭生活でもキャリアの上でも“死”を受け入れたスージーが、もっとドライで優秀なエージェントと広報担当を雇い、再起を賭けてテレビのダンス・リアリティ番組「ダンス・クレイジー」に出演している。

この状況なら両足で地に立っているだけでも誇っていいのに、スージーは得意のダンスで優勝を掴み、何としてでもフランクの共同親権を勝ち取ろうと奮闘。フランクと一緒にクリスマスを過ごすためなら、共同親権の必須条件・薬物検査も誤魔化し(!?)、70年代のマチズモみたいなダンスパートナーの暴露話を売ろうとする。

「超サイテーなスージーの日常」シーズン2

「ダンス・クレイジー」の顔ぶれは、いずれも問題を抱えた落ち目のセレブばかり。自ら振り付けを考え、ピエロのメイクを施し、幻想的なダンスでキレキレに魅せるものの、不倫と流出写真のイメージがつきまとうスージーに視聴者は冷たい。日本でも視聴者参加型のリアリティ番組やオーディション番組は人気だが、イギリス国民も大好きだ。話題性のためにスージーと前夫の中年ロックスター、ベイリーをペアで組ませ、演出次第で“視聴者の意向”はどうとでも変えられると話す製作陣のシーンもあり、実際のリアリティ番組への風刺が随所に盛り込まれている。

「超サイテーなスージーの日常」シーズン2

また、シーズン1のラストで妊娠が分かったスージーだが、パッチ・ピルのようなものを自分で試みている。女性のリプロダクティブ・ライツ(自分の身体について自分自身で選択する権利)の先進国であるイギリスならではだ。

血のついたナプキンを取り替え、トイレの水を流すシーンが数分間続く。このようなシーンは、いまだかつてどんなドラマでも観たことがないもの。「ハウス・オブ・ザ・ドラゴン」の出産シーンがちらっと頭をよぎるが、現代の女性はこうした選択もできるのだと、この過激な作品は教えてくれる。そうしなければ、スージー自身が“死”から前に進むことができないからだ。

「超サイテーなスージーの日常」シーズン2

今シーズン、スージーにとって新たな脅威となるのは、離婚調停でフランクの親権を完全に奪おうとしている夫コブ。フランクを育てながらコブの何倍も稼いできたのに、それが“夫婦の収入”と見なされ折半されるという話も寝耳に水だ。「法律が高収入の母親の権利を奪っている」と男性弁護士が冗談めかして言うが、スージーや女性弁護士はとても笑えない。

すべてを賭けた「ダンス・クレイジー」の決勝戦はクリスマス・イヴ。「あんたの面白さは誰よりも強烈」「長い芸歴が誇る力を見せてあげな」と、10代のころから彼女を知る古参の衣装担当に背中を押されるスージー。実際、スージーことビリーのダンスは素晴らしいもので、改めてスポットライトが当たるべき女性であることを痛感する。

「超サイテーなスージーの日常」シーズン2

とはいえ、そんな大切な勝負の日でも、いや大切な勝負の日だからこそ、崖っぷちのスージーは“一線”を超え続けてしまう。“守るべき一線”を決めるのは結局、自分自身だ。意を決したダンスで不死鳥のように再生へと飛び立とうとするも、現実はどこまでも厳しく、ほろ苦い。だからこそ、スージーが愛おしくてたまらなくなるのだ。


「超サイテーなスージーの日常」公式サイト

<海外ドラマ「超サイテーなスージーの日常 シーズン1」(全8話)>
<海外ドラマ「超サイテーなスージーの日常 シーズン2」(全3話)>
【配信】スターチャンネルEX -DRAMA & CLASSICS-
<字幕版>独占配信中
<吹替版>シーズン1:全話配信中、シーズン2:10月2日(月)より全話配信開始

【放送】BS10スターチャンネル
【STAR1字幕版】10月10日(火)より放送開始 毎週火曜23時ほか
【STAR3吹替版】10月12日(木)より毎週木曜22時ほか

シーズン1(全8話)再放送
【STAR1字幕版】9月26日(火)&10月3日(火)23時より4話ずつ放送 ※第1話は無料放送
【STAR3吹替版】10月5日(木)22時より全話一挙放送

〈提供:スターチャンネル〉

《上原礼子》

「好き」が増え続けるライター 上原礼子

出版社、編集プロダクションにて情報誌・女性誌ほか、看護専門誌の映画欄を長年担当。海外ドラマ・韓国ドラマ・K-POPなどにもハマり、ご縁あって「好き」を書くことに。ポン・ジュノ監督の言葉どおり「字幕の1インチ」を超えていくことが楽しい。保護猫の執事。LGBTQ+ Ally。レイア姫は永遠の心のヒーロー。

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