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【ドラマニア】敵か味方か…考察が話題の春ドラマを徹底総括「勝手にベスト3」

2024年の春ドラマ。今期は、先の読めない展開に「この人って、悪い人?」「まさか、嘘でしょ…!?」と推理しては裏切られる、ミステリアスな作品が多かった。今日は、ドラマニアが選ぶベスト3をご紹介。

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「くるり~誰が私と恋をした?~」(C)TBS
「くるり~誰が私と恋をした?~」(C)TBS 全 5 枚
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2024年の春ドラマ。今期は、先の読めない展開に「この人って、悪い人?」「まさか、嘘でしょ…!?」と推理しては裏切られる、ミステリアスな作品が多かったように思われる。そこで今日は、毎クール全ての作品をチェックしているドラマニアな筆者が選んだ「勝手にベスト3」をランキング形式でふり返っていこう。

第1位:怪しい登場人物がいっぱい…!?
でも最後には人を信じたくなる
「くるり~誰が私と恋をした?~」


「くるり~誰が私と恋をした?~」は、階段からの転落事故で記憶喪失になった主人公・緒方まことが、手元に残された男性用の指輪を手掛かりに“恋の相手”と“本当の自分”を探していく、ラブコメミステリーだ。二本柱の謎が少しずつ明かされていくハラハラ・ドキドキの展開が深く作り込まれていて、非常に面白い作品だったと思う。

まず物語の根幹となる“恋の相手”探しでは、まるで恋愛シミュレーションゲームをしているかのような三様の男性キャラクターが登場。自称・元カレの年上花屋さん(瀬戸康史)、元同僚の優しい天然男(神尾楓珠)、情熱とお金は随一の若手IT家(宮世琉弥)。

それぞれのやり方でまことを愛し、視聴者をキュンとさせてくれる半面、時折見せる裏の顔に「えっ、もしかして全部ウソ…!?」と翻弄される展開がとても魅力的だった。回を追うごとに、「あの時の台詞って、そういう意味だったのか」と伏線が回収されるスカッと感も人気の要因だろう。

またもう一方の“本当の自分”探しでも、「人が生きる上で、過去は必要か」という難しいテーマに切り込んだ点が斬新だったように思われる。人が「変わりたい」と強く願った時、過去の自分を潔く切り捨てることができるのだろうか。

まことの苦悩を通して、「今、この一瞬をどう生きるべきか」深く考えるきっかけをもらった気がする。全ての記憶を取り戻したまことが選んだ結末は…? 最後の最後まで目が離せなかったドラマ「くるり」、ミステリーとラブストーリーのバランスがちょうど良く大変見やすい作品だった。

第2位:様々な正義の形
人を裁くことの難しさに迫った
「アンチヒーロー」


本作の主人公である弁護士・明墨正樹(長谷川博己)は、決して正義の救世主ではない――たとえ犯罪者である証拠が100%揃っていても無罪を勝ち取る、殺人犯をも無罪にしてしまう「アンチヒーロー」である。しかし、その行動には列記とした理由があった。

彼が検察に所属していた12年前、自らの手で起訴した「糸井一家殺人事件」の犯人・志水の再審請求を通すため、刑事や裁判官、検察の人間を計画的に潰す必要があったのだ。見れば見るほど、「正義とは果たして何なのか?」「世の中の悪とされていることは、本当に悪いことなのか?」という疑問符が浮かぶ、まさに究極の逆転パラドックスエンターテインメント。

登場人物のひとりひとりにスポットを当てて見ると、それぞれが目の前の正義に対して、真摯に向き合っているようにも見えるのだが…それがもし、他の誰かの人生を侵害していたとしたらどうだろうか。法律を元に人が人を裁く法廷の難しさにギリギリまで迫ったこのドラマ。自身の正義のためとはいえ、有罪と知りながら犯人を逃がした明墨の行く末は…?

ラスト裁判まで、誰が敵で味方か分からないジェットコースター展開に、楽しく翻弄された一作。法律は人間が作り上げた尺度でしかなく、黒の奥には限りない白が存在しているという彼の言葉が、いまも胸の奥でこだましている。

第3位:それぞれが踏み越えるボーダーライン 家族の温かさにほっこり
「9ボーダー」


タイトルの意味は、19歳、29歳、39歳と、いわゆる“大台”を迎える前のラストイヤーを指し示している。この物語は、まさにその真っ只中にいる3姉妹(畑芽育、川口春奈、木南晴夏)が、「LOVE」「LIFE」「LIMIT」の“3L”を軸に、モヤモヤや焦りを抱え幸せになりたいともがきながら人生を前向きに進んでいく姿を、完全オリジナルで描いたヒューマンラブストーリー。それぞれの年代に散りばめられた共感ポイントに頷きながら視聴した人も多いのではないだろうか。

また、本作の焦点のひとつとして、「家族」という普遍的なテーマが挙げられる。時に、耳の痛い言葉でお互いを傷つけてしまうこともあるけれど、結局はお互いのことをよく分かっていて、一緒にお風呂につかり、美味しいごはんを食べればいつの間にか仲直りしている理想の家族・大場家。その対極として、次女・七苗(川口さん)の記憶喪失の恋人・コウタロウ(松下洸平)の存在が描かれていた。

これからの人生を歩む上で、自分の過去、すなわち家族は必要なのか。週を追うごとに増していくコウタロウへの好感度、同時に「この人、信じて大丈夫なんだよね…?」という疑念が広がっていき…。最終的には、大場湯のある清澄白河市街地再開発プロジェクトに携わっていた人間だったと判明する切ない展開にハラハラさせられた。

先に挙げた「くるり」と偶然にも似たテーマを扱っており、主人公たちの行き着く結末が細分化されている点も、春クールの見どころとしてぜひふり返ってみていただきたい。

以上、春ドラマの総括。次回は、夏ドラマのおすすめをご紹介予定。お楽しみに。


《YUKI》

三度の飯よりドラマが大好き YUKI

テレビ局での勤務を経て、フリーに転身。毎クール全ての作品に目を通す【ドラマニア】としてコラムを執筆している。近年はシナリオライターとしても活動の幅を広げており、乙女ゲームをはじめ、CMや謎解きなど、ジャンルを問わず様々な企画に挑戦中。

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