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【インタビュー】キム・ゴウン×ノ・サンヒョン、役の説得力は「信頼」「仲の良さ」から『ラブ・イン・ザ・ビッグシティ』

国際ブッカー賞にもノミネートされたパク・サンヨンの連作小説「大都会の愛し方」の収録作を映画化した『ラブ・イン・ザ・ビッグシティ』が、6月13日に劇場公開を迎えた。

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キム・ゴウン&ノ・サンヒョン/photo:Jumpei Yamada
キム・ゴウン&ノ・サンヒョン/photo:Jumpei Yamada 全 21 枚
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作品への想いが予想外の化学反応に


――産婦人科医院を飛び出すシーンや病院の前で涙するシーンなど、ジェヒとフンスが感情を爆発させるシーンに涙しました。お互いの芝居を受けるなかで、ご自身の芝居が想像以上に引き出された瞬間もありましたか?

ノ・サンヒョン:ジェヒが産婦人科医院を飛び出すシーンはものすごくパワフルで、まさに想像以上で強く印象に残っています。あのシーンは朝に撮影したのですが、早い時間に感情を爆発させる演技をするのは難しいことなのにもかかわらず「いつもやっているよ」と言わんばかりに凄まじいエネルギーを発散するキムさんを観て圧倒されてしまいました。台本上ですと、フンスも産婦人科医院についていき、感情を爆発させるジェヒを言葉なく見守りながら最後に抱きしめるという流れだったのですが、キムさんの姿を見ていたら僕も自然に感情がこみ上げてきて、抱きしめるというリアクションが生まれていました。

キム・ゴウン:いわゆる“感情シーン”の多くは、撮影の後半に撮影しています。そのくらいに差し掛かるとフンスとジェヒの物語もだいぶ進んでいますし、蓄積があることでより息を合わせられるようになっていました。と同時に、各々の想いも膨らんでいますから台本に書かれていない予想外の状況が生まれたり、突発的に呼吸がズレることで新たな面白さが生じたりしていました。イ・オニ監督が私たちの化学変化を起こしやすい順序で撮影スケジュールを組んで下さったおかげで、そうした瞬間が自然に作れたと思います。

――ジェヒとフンスがステレオタイプや同調圧力による生きづらさと立ち向かう姿が見事に描かれていましたが、おふたりのもとにはどのような反響が寄せられましたか?

ノ・サンヒョン:本作を観てくれた周囲は「泣いた」と言ってくれる人も多く、「楽しかった」「面白かった」「何回も観た」との反響もありました。その中で特に印象的だったのは、フンスに似た境遇の方がくださった手紙です。「この作品を観てとても慰められ、力をもらえました」というメッセージをいただけました。

キム・ゴウン:私自身は、こんなに褒められたことがあっただろうかというくらい多くの知人から絶賛をいただけました。前作の『破墓/パミョ』では、商業的に韓国で成功を収めたことに対するお祝いの言葉でしたり、私が演じたキャラクターが強烈だったためそのキャラクターを褒めていただくことはあったのですが、『ラブ・イン・ザ・ビッグシティ』においては観た方の多くが個人的なメッセージをたくさん送ってくれました。「心の底から本作が好きです」と言って下さったり、私がこの役を演じたことを喜んでくださるメッセージがたくさん届いてとても新鮮でしたし、改めてやりがいを感じられました。

映画は「大きな力を持っている」


――劇中で『君の名前で僕を呼んで』が重要な役割を果たしていますが、「他者との違いを理解する」うえで文化芸術が果たす役割にも胸を打たれました。最後に改めて、おふたりが思う「映画の力」について教えて下さい。

キム・ゴウン:映画の力というのは、芸術の領域に属するものですよね。その中で非常に特別だと感じるのは、映画を観るためにはわざわざ時間を作らなければいけませんし、費用を出して映画館に行かなければならないということです。つまり芸術領域において大変さや苦労を伴うのが映画かと思いますが、それだけの力があると感じています。

例えば、「自分はこういう好みを持っているんだ」と気づかせてくれたり、時代性を反映した物語が展開するものでもありますよね。私が生まれる以前の映画を観たときに「この年はこんな考え方をしていたんだ」と推測できる学びがありますし、当時も今も人間同士が共に生きていることを改めて教えてくれる存在――これらは、映画という芸術が持っている力だと思います。

ノ・サンヒョン:僕も同感です。映画というものは五感で様々なことを感じさせてくれるメディアですから、それ自体が大きな力を持っているのではないでしょうか。実際に映画館で映画を観ると、自分でも驚くほど多くのことを感じ取ることができますよね。

キム・ゴウン:もう少し付け加えさせていただくと――映画は詩のようなもので、ドラマシリーズは小説のようなものではないかと私は思います。一篇の詩を完成させるためにたくさんの思想や思考、ストーリーや内容を盛り込みつつ、それらを圧縮する作業が必要になってきます。つまり、2時間という圧縮された中に濃密なエキスが詰まっていることもまた映画の魅力であり、力だと思います。


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《text:SYO/photo:Jumpei Yamada》

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