ランティモス監督の現場
「すごく快適な場所」
――西島さんのインスタグラムにも、多くの現場の写真が掲載されていますが、本番中とはまた違ったバックヤードの雰囲気が伝わってきたり、俳優たちの思わぬ表情が見えるカットが多くありますね。
撮影の合間の瞬間がいつも面白いなと思っていて、(俳優が)無意識に何か考えているみたいなところがあって、もし(本番中で)カメラが回っていたら、そうしてないかもしれない部分が見えたりするんです。そういう、どこか曖昧な部分というか(本番とオフの)間くらいのところが一番面白いなと思います。本番の時ももちろん良いですけど、そうじゃない時間――フッと力を抜いている瞬間みたいなのが好きですね。
――アップされている写真を拝見すると、遠くからそっと狙うというより、かなり至近距離で撮影されている写真もあります。
そうですね。シーンにもよりますが、かなり近い距離で撮ることもあります。むやみやたらと撮るようなことはしませんが、俳優さんの様子を見ながら「撮っていいですか?」とか聞くでもなく「ちょっといいかな?」と思いながら少しずつ近寄って、サッとシャッターを押して、また離れるみたいなことをやっています。少し「申し訳ないな」と思いつつ(笑)。
――『ブゴニア』の劇中で、テディ(ジェシー・プレモンス)がミツバチを飼育していて、いくつかのシーンでハチが群がる巣箱も出てきますが、あのシーンの撮影では西島さんも防護服を着用されて?
そうです。あのシーンは防護服を着ないと近寄ることができないので(笑)。最初は正確に(スタッフに)これくらいの身長の人、これくらいの体型の人が何人いるから、XXLサイズの防護服が何着必要で、ミディアムサイズが何着必要で…とか、そこまではっきり確認してなかったんですね。僕が現場に入るのはたいてい、みんなより遅めのことが多くて、そうしたらミディアムのサイズしか残っていなくて、小さくて全然入らなかったんです(苦笑)。だから初日は近くでハチを撮れず、現場で大きいサイズをオーダーしてもらって、近寄れるようになりました。あれは面白かったですね。

――ランティモス監督の作品には『聖なる鹿殺し』以降、ずっと関わられていますが、ランティモス監督の現場の特徴、監督の仕事ぶりなどで驚かされたことなどはありますか?
おそらく、映画の内容を見ると、(ランティモス監督は)エキセントリックな人間なんじゃないかと思う方が多いと思います。でも実際は、普通じゃないけど普通な感じなんですよね。非常にシンプルだし、撮影する場所に人は少ないんですけど、現場自体はすごく快適な場所で、仕事に行くのはいつも楽しいです。おそらく、そこにいる人たちはみんな、そういうふうに感じていると思います。ヨルゴスの現場にいられることが嬉しいというか、信頼された上での自由も感じます。多くの人がこの現場を経験することができたら、素晴らしいだろうなと感じる現場です。

――ランティモス監督作品の常連であるエマ・ストーンのことも、西島さんは『女王陛下のお気に入り』から本作『ブゴニア』まで、至近距離で撮影されていますが、レンズを通して彼女を見て、どのような部分に凄さや魅力を感じますか?
『哀れなるものたち』のダンスのシーンもすごかったですし、とにかくも何でもできる――全部できるし、全てに体当たりするという感じ。かっこいいなと思います。すごくパワーがあるし、もちろん、綺麗で面白くて優しい人で、撮っていて楽しいですね。
それからエマ・ストーンもすごいですが、ジェシー・プレモンスも素晴らしいですよね。『ブゴニア』での2人の地下室での会話のやりとりは間近で見ていて本当にすごかったので、ぜひ注目して観てほしいです。

『ブゴニア』は全国にて公開中。

