2026年2月20日に世界同時公開されたNetflixオリジナルの韓国映画『パヴァーヌ』。こちらは作家パク・ミンギュさんの小説『亡き王女のためのパヴァーヌ』が原作となっている。
実は日本語で読める作品も多い作家。そこで今回は、出演俳優の紹介も交えながら邦訳版が出版されているパク・ミンギュの小説について紹介していきたいと思う。
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【パク・ミンギュのプロフィール】
・1968年蔚山生まれ
・ハンギョレ文学賞や文学トンネ新人作家賞、李箱文学賞など著名な文学に関する賞を多数受賞
・下記で詳しく紹介するが、主な作品はほとんど邦訳されている韓国作家
・独特の作風から「韓国の鬼才」「韓国文学の異端児」とも称されている
・改行が独特で詩のような小説を書く作家とも言われている
・一つのジャンルにハマらず、SFやリアリズム、恋愛、短編から長編までさまざまな作品が楽しめる作家
【映画『パヴァーヌ』あらすじ】
心の扉を閉ざして生きてきた3人が出会いをきっかけに変化し、人生と愛に向き合っていく姿を描いた青春ロマンス。それぞれ異なる傷を抱えながらも、誰かと関わることで自分自身を取り戻していく過程を丁寧に映し出す。
物語の舞台はデパートの地下駐車場。人目を避けるように生きる女性ミジョン、ロック音楽を愛する自由奔放なヨハン、夢を諦め現実に身を置く青年ギョンロク。光の当たらない場所で出会った異なる背景を持つ3人が、互いにとっての「光」になっていく。

【主演俳優紹介】
▼コ・アソン(キム・ミジョン役)
子役出身の俳優。『ケナは韓国が嫌いで』や『サムジンカンパニー1995』『グエムル 漢江(ハンガン)の怪物』など多数の有名作品に出演している演技派。
▼ムン・サンミン(イ・ギョンロク役)
『愛する盗賊様よ』や『シュルプ』などに出演している。これまでのエネルギッシュな演技から一変。初主演映画となった『パヴァーヌ』では、社会に希望を持たず無気力な青年をリアルに演じていた。最近では歌手イ・ヨンジの新曲『Robot』のMVに出演したことでも話題となった。
▼ピョン・ヨハン(パク・ヨハン役)
『ミセン -未生-』や『六龍が飛ぶ』『ミスター・サンシャイン』など多数の話題作に出演。少女時代のティファニーと結婚を発表したのも記憶に新しい。
【日本語で読めるパク・ミンギュの小説】

①『亡き王女のためのパヴァーヌ』(吉原育子訳、クオン)
端役の俳優を父に持つルックスに恵まれた「僕」。デパートで働く、世間から「不細工」と呼ばれる彼女。そして、バイト先の同僚であり酒を酌み交わす友人ヨハン。交わるはずのなかった3人の人生が出会いをきっかけに重なり合い、過去と現在、生き続けていく未来へと静かにつながっていく物語。魂の喪失と再生を見つめながら、愛の本質と人生の意味を問いかける恋愛小説でもある。読者の間では「村上春樹の小説を思い出した」という声も多い。
②『カステラ』(ヒョン・ジェフン&斎藤真理子訳、クレイン)
第1回「日本翻訳大賞」に選ばれた短編集。洒脱でリズミカルな筆致とユーモアあふれる語り口で、「就職難」や「格差社会」、「貧困」などの現代韓国社会のリアルを背景に、そこに生きる若者たちの姿を鮮やかに描き出す。
物語には、タヌキゲームにのめり込むインターン先の社員、何でも飲み込んでしまう不思議な冷蔵庫、宇宙人の襲撃を受けている農地など、日常と地続きにありながらどこか奇妙でシュールなモチーフが次々と登場する作品。
③『ピンポン』(斎藤真理子訳、白水社)
いじめの標的にされている中学生の「釘」と「モアイ」。理不尽で苛烈な暴力にさらされ、心身をすり減らしながらも、どこか醒めたまなざしで自分たちと世界を見つめている二人。ある日、打ちのめされた帰り道、広大な原っぱの真ん中にぽつんと置かれた卓球台を見つける。何気なく始めたラリーは、彼らにとって初めての「呼吸」のような時間になる。やがて訪れた卓球専門店で、店主セクラテンとその同居人と出会い、卓球の奥深い歴史や精神を教わる中で、二人は過酷な日常をひととき忘れ、ラケットを握り続ける。
やがて物語は、現実と幻想の境界を軽やかに飛び越える。空から巨大なピンポン球が落下し、世界は一変。人類の存続を賭けた奇想天外なゲームが始まる。痛みと孤独を抱えた少年たちの独白は、やがて超高速のラリーのように加速し、脳内スマッシュが炸裂。過剰で変幻自在、ユーモアと絶望がせめぎ合う物語である。

このほかにもデビュー作である『三美スーパースターズ 最後のファンクラブ』(斎藤真理子訳、晶文社)や奇想天外なSFやリアリズム小説などが収録された『ダブル サイドA』、ホラーやドラマ的作品など全9篇が収録された『ダブル サイドB』(斎藤真理子訳、筑摩書房)など、日本語で読める作品が多数出版されている。『パヴァーヌ』の鑑賞をきっかけに、不思議で奇抜な「パク・ミンギュワールド」に足を踏み入れてみるのも面白そうだ。
(文=豊田 祥子)
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