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長澤まさみ「わがままになる分、助け合えるような世の中に」、「T乾」にも重なる生き方や選択を問う『このごにおよんで愛など』

『このごにおよんで愛など』やドラマ「Tシャツが乾くまで」など、恋愛模様を描くだけではなく、登場人物たちの想いを通して「自分自身の生き方や愛の選択」を深く問いかけてくる作品に迫った

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『このごにおよんで愛など』(C) 2026 K2 Pictures 
『このごにおよんで愛など』(C) 2026 K2 Pictures  全 4 枚
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長澤まさみ、柄本佑、石橋静河といった日本映画界を代表するキャストが集結し、新鋭・広瀬奈々子の長編映画第2作となるオリジナル作品『このごにおよんで愛など』が、11月27日(金)より全国公開。

是枝裕和や西川美和の監督助手を務め、柳楽優弥主演の映画『夜明け』(2019)でデビューを果たした広瀬監督。レズビアンカップルの友人に子どもができたという知らせを受け、その子が生まれて大きくなったとき、いつかこの映画を見てもらいたいと思ったことがきっかけとなり、自ら企画・脚本を手掛けた。

既存の価値観にとらわれない作品をつくりたい、という監督の思いから、撮影監督ヤオ・ホンイーら台湾スタッフを迎えた日台合作の意欲作だ。

秋から冬へと移り変わるこれからの季節、じっくりと物語の世界に浸りたくなる大人のために、恋愛模様を描くだけではなく、登場人物たちの想いを通して「自分自身の生き方や愛の選択」を深く問いかけてくる作品となっている。

『このごにおよんで愛など』(C) 2026 K2 Pictures

絵本作家の小島詩(長澤)と保険会社に勤める小島杜夫(柄本)は、結婚3年目の夫婦。詩は「そろそろ子どもをつくらない?」という杜夫の提案をはぐらかす傍ら、夫に言い出せないまま関係を続けている恋人がいた。それは、詩の担当編集者の倉持潤奈(石橋)だった。

どちらとの関係もぎくしゃくしていくが、どちらの関係も手放せないまま、杜夫と子どもをつくることもピンとこない詩。2人から選択を迫られた詩は、突拍子もないことを思いつく。「たとえば、3人で子どもを作るのはどうかな?」

初めのうちは戸惑う杜夫と潤奈だが、3人で一緒に暮らしていくにつれ次第に関係が変わっていき、ついに潤奈の妊娠が発覚するのだが――。

『このごにおよんで愛など』(C) 2026 K2 Pictures

本作の大きな見どころとなるのが、「3人で子どもを作るのはどうかな?」という詩の提案から始まる、3人の共同生活。

詩のわがままに戸惑いを隠せなかった2人だったが、ひとつ屋根の下、料理上手な杜夫の手料理を一緒に囲み、何気ない日常を共有していくにつれ、緊張していた関係が不思議とほぐれていく。愛する人と共に生きることに迷い悩む3人の姿を通して、「いろんな家族の形があっていいんじゃないか」という監督の思いが込められた、既存の価値観にとらわれない新しい家族のあり方が描かれていく。

主人公・詩を演じた長澤は、本作が描く「家族の形」というテーマについて、「家族の形というものが、いわゆる既存の形では収まりきらないものになってきているということを一番感じました。他の家と違うっていうことがむしろスタンダードになっていくんだなと思ったら、監督が言うように、わがままになる分、やっぱり助け合えるような、世の中になるといいなと思えるような映画になる気がしました」と語っている。

『このごにおよんで愛など』(C) 2026 K2 Pictures

結婚していながら恋人を持ち、さらには「3人で子どもを作る」という詩たちの選択は、一見すると突拍子もなく思えるかもしれない。

しかし、広瀬監督の繊細な演出によって描かれる3人の日常に触れるうち、「世の中にはこんな家族の形もあるのだ」という、視界が広がる気づきを得ることになる。自分たちなりの愛の形を模索する3人の姿は、観る者に「自分の人生ももっと“自由”でいいんだ」という勇気を与えるような作品になっている。

こうした「家族」や「自分の人生」を問いかける作品として、記憶に新しいのがTBS系ドラマ「Tシャツが乾くまで」だ。とある事故をきっかけに、二組の夫婦の秘密が明らかになり、物語は予測不能な展開を見せていく。

いわゆる不倫ドラマではなく、「一緒に暮らしていても知らない夫(妻)の別の顔」や「お互いにとって居心地の良い距離感とは何か」が描かれ、視聴者に“自分にとっての幸せの形とは何なのか?”と深く考えさせる傑作として、この夏、話題になった。

また、松たか子と松村北斗が共演、不仲で倦怠期のまま夫を事故で亡くした45歳の妻が、15年前にタイムスリップし、29歳の夫にもう一度恋をするタイムトラベル・ラブストーリーを描く映画『ファーストキス 1ST KISS』(2025)もある。

「失って初めて気づく目の前の当たり前の幸せ」や「なぜこの人を好きになったのか」という関係性の原点をタイムリープという設定を通して描き直し、人生の選択に迷う大人たちに、相手を大切に思い続けることの尊さを提示した。

私たちがどう生き、誰とどう関わっていくのか――。「正解などない、“自分にとっての幸せ”を探し続ける」というテーマを描いたこれらの作品は、いまの時代を生きる大人たちの心を強く揺さぶってきた。

『このごにおよんで愛など』(C) 2026 K2 Pictures

本作『このごにおよんで愛など』も、その系譜に連なる傑作となるだろう。他人の目から見れば、わがままで欲張りな、理解しがたい関係であっても、ときにはぶつかり合い、自分たちにとっての「幸せ」を手繰り寄せようとする詩たちの姿。

正解のない毎日に迷い、失敗しながらも大切な人と向き合おうとする彼らの情熱は、決して他人事ではなく、観客自身の姿とも深く重なり合い、「完璧ではない自身の日常や、これまでの選択のすべて」を温かく肯定されたような感覚を覚えるはず。それはきっと、「Tシャツが乾くまで」や『ファーストキス 1ST KISS』のように、観終わった後、自分自身の人生をより愛おしく思わせてくれるに違いない。

「わたしと夫と彼女」という関係性の中で、3人がどのような答えを見つけ出すのか。わがままで、ずるくて、だけどどこか愛おしい――不器用な3人が揺れ動く感情と向き合いながら、その答えを紡ぎ出す。

『このごにおよんで愛など』は11月27日(金)より全国にて公開。

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《シネマカフェ編集部》

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