華麗な衣裳の裏に見え隠れする、愛と悲劇が乙女の心を満たす『ある公爵夫人の生涯』
もし自分のパートナーが浮気をしていたら? しかも、パートナーが浮気相手の存在を容認しろと言い出したら? はたまた、浮気相手を自分たちの家に住まわせることを強要し始めたら…?
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
『マリー・アントワネット』や『ブーリン家の姉妹』を例に挙げるまでもなく、時代劇は華やかであればあるほどドロドロ率高し。ゴージャスなコスチュームの数々でリッチな気分をもたらしながら、人間の欲望、野心、義務、さらには愛と悲劇を容赦なく描き上げていく。この『ある公爵夫人の生涯』はまさにその仲間に入れられる作品で、キーラ・ナイトレイ演じる18世紀イギリスのヒロイン、ジョージアナ・スペンサーは財力も権力もあるデヴォンシャー公爵と結婚。若く美しい公爵夫人としてロンドン中の注目を集めるが、そんな新妻をよそに、夫の公爵は別の女性と関係を持ち、その女性を屋敷に住まわせる。一方、夫が妻に望んだのは、愛ある家庭作りではなく、後継者となる男児を産むこと。女児にばかり恵まれるジョージアナは、家の中で行き場を失っていく…。
現代とは異なる時代の物語とは言え、当時の社交界からも好奇の目を向けられた実話だというから、奇妙で絶望的な展開であることは確か。キーラ・ナイトレイが凛とした雰囲気を漂わせながら、悲劇の私生活を強いられた公爵夫人を演じ上げている。その悲劇度を高めるのはやはり、本来は快活なジョージアナの哀しみを持ち前の魅力と共に表現したキーラの好演。ジョージアナが悲劇の果てにたどり着いた禁断のロマンスとその結末も、乙女心をくすぐった分だけ涙を誘う。
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