山里:「前日は声をできるだけ使わないで臨んでください」とか、「何パターンか声のバリエーションを探してみてください」とか、でした。声は高いのか、低いのか、抑揚があるのか、平坦なのか、とか。いろいろと自分で探して練習してきて当日見せてください、という内容でした。
――実際、何パターンくらい用意された?
山里:声だけでパターンは…難しかったんですけど、ありがたいことに、さっしーはアイドル、僕は司会者という役どころなので、現実の仕事からそんなにかけ離れていないものだったんです。意外と自分の(持ち味)を誇張すれば大丈夫かな、という思いでキャラクター作りをしていきました。
指原:まったく同じです。けど、私は地声が低いんですよ。アンは高い声を出さなきゃいけないかなと思っていたので、家でめちゃめちゃ高い声を練習しました。…私の声に、うちの猫がしばらく引いていました。
山里:(笑)。
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――実際に声入れ中、ブースの向こうでスタッフさんたちが話していると、気になったりしませんでしたか?
山里:それ、本当にそうです! 「はい、OKです」となった後に、しばらく何も声がけがないと、「あいつを起用したの失敗したな…」とか言われていたら…と思うんですよね…。「なんか違うんだけど、もう1回やっても変わらないから仕方ないか。じゃあ、はい、OKで~す」とかなってたら…って、「OK」と言われる前の間の台詞を考えちゃうんですよ(笑)。
指原:めちゃめちゃわかります! 表情とかも見ちゃいます。自分としては本当に精いっぱいだし、一生懸命だし、ちゃんとやっているつもり…ですけど、「合っています…?」みたいな感じでした。
山里:最後に、「自分の声を聞いてみてどうですか? 僕たちはOKですけど、もし録り直したいところがあったら全然言ってください」と言われるんです。でも「録り直したい」と言えるほどわからないし、「大丈夫です」と言うのも調子に乗ってると思われるんじゃないか…って。
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――すごく気を遣われるおふたりの性格が出ていますね(笑)。声入れ終了後は、どんな思いでしたか?
山里:クッタクタでした…。終わった後は、もう1文字も出ないってくらい。かなりハイテンションな役なこともあり、ぐったりでした。監督たちが、自分の意思では搾り出せないくらいの精魂を出せる空気を作ってくださったからこそ、できたと思います。
指原:そうですね。私も終わった後、酸欠のようになったというか、唇がしびれるような感じさえして。緊張と興奮と、全部が混ざって、初めての経験でした。
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――ここまで愛される『ONE PIECE』について、特にどこに魅力を感じていますか?
山里:喜怒哀楽の感情がすべてマックスになる瞬間があるところだと思います。本当に喜ぶし、悲しくて泣けるときもある。こんなに凝縮しているのに押し付けがましくなく、感情が動かされまくることってないと思うんですよね。尾田さんがキャラクターに「何ていい台詞を言わせているんだろう」というほど、すごく刺さる台詞があったりしますし、「確かに、いま努力できていないな…」と自分に照らし合わせて思うときもあります。シンプルにエンターテインメントとしてめちゃくちゃ面白いというベースの上に、その要素が乗っかってくるところが魅力です。
指原:私は年齢層の幅広いグループにいたので、小学生や中学生の子ともしゃべる機会があったんですけど、自分の世代のものの話をすると「それ、何ですか?」と言われちゃうんです。けど、ONE PIECE」は常に全員の最先端で、古い部分が一瞬もないのがすごいと思っています。「全員と同じ話ができることなんて、ないと思うので。
山里:そうだよね。そういえば、僕、「ONE PIECE」が好きすぎて、ジャンプの連載が開始されて単行本が発売されるまで、ジャンプの誌面を切り取って自分で単行本を作っていたんですよ。
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